「どうしてこうなった」

「だって執事喫茶なんだろう?」

翌日の放課後。部屋の扉を開けてみると絶句した表情のなまえがいた。どうしたお前珍しい。

「だからってなんで私まで!」

なまえの手には執事服。あーくん!と漸く俺を見付けたらしいなまえが走り寄って来た。

「あーくん、こーちゃんが私に着替えを強要してきた!」

「…何その言い方。サイズみるだけだと思うからさっさと着てこいよ。お前も店員なんだから仕方ねーだろ」

「なまえ、かつらもあるからな」

「うわああんいじめだ!」

ぶつぶつ言いながらも取り敢えず着替える気になったようなので、部室から出て待ってみる。あれ出てこねえな他の奴ら。とか思ってたら顔を赤くして飛び出してきた。何事だよ。

「ふふふふ不動なまえが…!」

「何だようるせえな」

「なまえが突然脱ぎ始めたんだ!」

「そりゃ着替えようと思ったんだろうしな」

「ふ、普通俺たちに一言言うよな?ちょっと出ててとか着替えるからとか!」

「なまえがそんなこと言うわけねえだろ」

「だいたい何でお前は出てったんだよ!」

「そりゃ出るだろ一応。仮にも女が着替える時くらい」

つーかお前ら落ちつけよ。なまえだぞなまえ。普段俺たちの着替えを覗いてるような女だぞ。

「あーくん、ネクタイ締めてー」

…とか思ってたらなまえがひょっこり顔を出した。仕方ないのでネクタイくらいならと手を伸ばした瞬間、違和感。

「…お前ボタン掛け違えてるぞ」

「え、うそ。あーくん直してー」

「へいへい」

ここで断ったところで意味を為すとも思えないので、仕方なくひとつずつボタンを外して、つけていく。後ろでぎゃーとかわーとか聞こえてくるが、まあ気にしない。全て直し終えて、ネクタイを締めてやる。なまえはいつものように、ふにゃりと笑った。


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