朝早く、なまえから電話が掛かってきた。

「あーくん、ふるーつよーぐるともってきて」

「は?」

電話はすぐにプツリと切れた。



「なまえ?そういえば来てないな…何かの発売日、といったところか」

「…今日発売のフルーツヨーグルトなんてあんのかよ」

「フルーツヨーグルト?何の話だ」

「あーいや、何でもない。鬼道チャン、放課後俺部活休むわ」

「?よくわからんが了解した」

鬼道クンに聞いてもフルーツヨーグルトの謎は解けやしない。新発売のフルーツヨーグルトなんて知らねえよあの野郎。朝練終わりの誰も居ない部室でなまえに電話をかけた。ワンコール、ツーコール。三度目のコール音の後に、電話が通じた。もしもし、声が聞こえる。

「あーくん、ふるーつよーぐるともってきて」

「それはもう聞いた。…っおい、よろしく、じゃねえんだよ切るな馬鹿!…あ?何か用…って何で俺がお前にフルーツヨーグルトを持って行かなきゃならねえんだよ。…は?風邪?新発売のフルーツヨーグルトじゃなくて?いやあるのかなんて聞かれても知らねえけどよ。あー…、分かった、今持ってく。家の場所は?…ああ、あの辺か。分からなかったらまた電話するから。…ん、分かったから寝てろ、…ああ、じゃあな」

授業はサボることにした。なまえの世話をするほうが多分、マシだ。


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