「臨也ー」
「…何、なまえ」
「何でそんなに不機嫌なの…」
反抗期かしら、となまえは呟く。何か用があったんじゃないの、と聞くとそれまで忘れていたらしく、ああ、と声を漏らした。
「アイス買ってこようと思うんだけど、臨也何が良い?」
「……要らない」
俺の事は良いから好きなの買っておいでよ、なんて言えば、なまえは怪訝そうに眉を潜める。
「…臨也アイス嫌いだっけ?」
「そんな事無いけど」
「寒気でもする?」
「具合悪そうに見える?」
「いや全然全くこれっぽっちも」
…そんなに全面否定しなくても。
「…あ、もしかしてあんた」
「え?」
ガッ、と顎を掴まれたかと思うと、思いっきり口を開かせられる。ちょ、…顔近いんだけど。
やっぱり、となまえは呟いた。いい加減離してくれないかな顎が外れそうだよ、お姉ちゃん。
「虫歯になったら歯医者に行けって何回言ったら分かるの!」
…そして案の定怒られた。
返事は?と物凄い顔で睨まれたけど、顎が外れそうで返事が出来ませんとは口が裂けても言えない。
ていうか実際裂かれそうだ。
「とにかく、明日仕事休みだし歯医者連れて行くからね」
分かった?と至近距離で睨まれて、口を裂かれまいと俺は取り敢えず頷いた。
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