drrr!!
「ハロー、シズちゃん」

「あ?…なんだ、手前かよ」

「いえす、××ちゃんでーす。おひさー」

「あーっ、ちょっと××!俺がいるのに何でシズちゃんに話しかけるかな、まったく」

「いやあ、今日はいい天気だねえシズちゃん。でも明日からは雨らしいよ、嫌だねえ」

「…そうなのか。じゃあ今日中に買い物済ませねえと…」

「ちょっと、××?聞いてる?」

「あ、そうだ。そういえばさっきこれ貰ったんだけどね、今はそんな気分じゃないしあげるよ。はい」

「あ?何だこれ」

「駅前の洋菓子店の、数量限定で販売してるプリンらしいよ。シズちゃん、プリン好きだったよね?」

「いいのか?…ありがとう、な」

「いえいえ。シズちゃんの笑顔で私はおなかいっぱいだよ、なんてね」

「俺は××の笑顔でおなかいっぱいだよ!ね!」

「…おや、向こうでトムさんが呼んでいるね。もしかしてシズちゃん、仕事中だった?」

「あっ、…悪い、行くわ。これ、サンキューな」

「ああうん、お仕事頑張ってね」

「××、俺は今日空いてるよ?」

「さて、やることもないし帰ろうかな。…ああ、そうだ。この間出来た店のケーキでも買って帰ろうかな」

「!あ、俺も行くよ。奢るから一緒に行こう?」

「あら、蟲がいるわね。こんにちは」

「やあ××、」

「気分が変わったから帰ろうかしら。付いてこないでね、ノミ蟲さん」


BLコンテスト・グランプリ作品
「見えない臓器の名前は」
- ナノ -