Main [今井健太side] 中村が家にきた。 今日は新作のゲームとかして遊んだ。 結構中村強くてびっくりした。 まあ楽しかったな。 「そろそろ私帰ろっかなー」 中村がゲーム機のコントローラーをおいて背伸びする。 「ああ。帰る?送ってわ」 「ほんと?・・・優しいね」 中村は嬉しそうにへへっと笑う。 その笑顔に少し癒される。 「っじゃ行こっか。」 「うん!」 玄関を開けると外はもう真っ暗だ。 「わー。暗いなー」 「おう。大丈夫か?時間とか。」 「大丈夫。その、さ。両親共働きで家にあんましいないから」 寂しそうな表情を見せる。 俺はそっと手を握る。 彼女の手はすごく冷たい。 「健太。手。温かいな」 「そうかな。」 こうやって、 慣れていこう。 「今くーーーーん」 どこからか声がした。 たぶん後ろから。 「今くーん。今くん・・・。」 声が近づいてきている。 ”今くん” そう呼ぶのは彼女しかいない。 いやでもまさかそんな。 ありえない。 会いに来るなんてどうかしてるじゃんか。 そりゃぁ・・・想像とかしたけどさ、 もし彼女が突然会いに来ないかなとか。 でも現実でなんてありえないじゃん。 でもでもでもこの声は 確かに。 彼女と手を繋いだまま少し後ろを振り返る。 少し暗いが目を凝らせば人くらい見える。 「今くん。」 ああ。 あああああああああ。 彼女だ・・・。 なんてこった。 どうしよう。 俺は彼女と繋いでいた手を離して 彼女の方へと走っていく。 中村は驚いた顔をして俺をみる。 そんなのも今は関係ない。 我ながら自分勝手な最低最悪クズ男だと思う。 だけど今だけは 彼女の顔を見ていたい。 だって 彼女は俺の大切な。 ← → Back |