Reach out to the truth | ナノ
「何、それで今朝から思い詰めてたわけ。心配して損した」
「名前…おまっひっでーな…!つかその前に…返事、聞かせろよ」
「あー…、うん。別にさ、赤也の事は好きとかじゃないんだけどさ。まあこっちも失恋の身だし…赤也がいいならそれでいいけど…」
「結局どっちだよ」

「……いい、ですけど。」


赤也ははぁーっと溜息をついてその場に崩れた。「かっこわりーなぁ、俺」とかなんとか言ってるけど、こんなの以上に格好悪いのいつも見てるよなんて言えるわけない。
今更だけど、私を好きなんだ、と思うと恥ずかしさが込み上げた。

「というか、ほんと赤也の事なんとも思ってないけどいいの?」
「むしろ俺がそれで付き合うのを許可したのが良かったのかが聞きてえくらいだから」
「そ、そう」
「「………」」

赤也自身も話す事がないのか色々考えてるのかわからないけれど、黙ってしまった。もとより私の方は話すことがないから部屋には沈黙が降りる。
ほんと昔から赤也のことは兄弟みたいな、それくらいの感覚だったんだけどなあ。赤也が彼氏なのは嫌じゃない。むしろ赤也を好きじゃないって言ってる私でいいのってくらい。あ…そっか、好きじゃないならなればいいんだよね。

「「あのさ…」」

「なにこのデジャヴ…」
「じゃあ名前から言えよ」
「あの、さ。好きじゃないけど、好きになるように…なる…という、か。努力、する」
「…〜〜っ!」

今まで微妙な顔をしていた赤也が、少しの嬉しさとあとはだいたい照れとか恥ずかしさの表情を見せた。そして、手を伸ばして私をだ…抱きしめっ……!
あ…は、……え?

「やっぱお前かわいい」

赤也の心臓もばくばく言ってるのが聞こえた。私の顔も熱い。恋してるみたいな感覚。これって恋してる、んだろうか。

「そ、それで、赤也は何言おうとしたの」

顔は到底見せられないから、抱きしめられたまま俯く。赤也は「あ、あぁ」と微妙な返事をして話を続けた。

「朝一緒にいかね?」
「行ってんじゃん」
「いや、あれは大体俺が車両移動してお前を探してたからで待ち合わせてた訳じゃねーだろ」
「(え、赤也って毎朝私を探してたんだ…)」
「だからさ、朝と帰り一緒でいいだろ」
「(あ、帰りもなのね)…いいよ」

予想以上に赤也が私を見ていたんだなとか、恥ずかしい。知らないうちに他人から想われているというのはなんだかくすぐったいというか。





何だか I don't know
(これは、同情なのかな)