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放課後、部活に一緒に行こうと同じクラスの千歳を誘った。いつものことだけどね。そしたら、そういえば昨日買ったリボンのピンの感想を聞きたくて、千歳に言ったんだけど。

「ちーちゃん!このリボンどうよ!」
「お前はなんでんかんでん似合うばい」
「またまた〜。そんな事言ってるから周りの女の子がコロコロと落ちちゃうんでしょうに」

何でも似合うなんてこんな一女子に言っていいことじゃないのよ。もっと…彼女?とか出来たら、その娘に言ってあげなきゃじゃない?

「そぎゃんこつ、なかよ」
「だってちーちゃんレディーファーストじゃん!"下の段差、気をつけて"みたいな感じの」

ススッと背中に手を添える仕種をしてこんな感じ、と千歳に見せてみる。それから千歳は「ははは」と笑ったまま、私の進行方向前方に指をさした。

「前のドアば気ぃ付けて」
「え?…うぶっ!」

正面衝突、ドアと濃厚な接吻を交わす。
おでことか鼻とか痛いったらありゃしない。ちょっと。鼻血とか出てないだろうか。
千歳を振り向くと、千歳は呆れたような面白いものをみるような笑いを顔に含んでいた。

「ほら、言わんこっちゃなか」
「ちーちゃんがいきなり言うから!」
「じゃあ、」

腕を、引っ張られて千歳の腕の中に体が埋まる。

「こぎゃんすれば、ええと?」

ちーちゃんの…む、胸板が…目の前に…!
あ、あれ?なんでこんなことになってんの…?

「早よ、気付かんね」
「え……」

腕のなかで聞こえたのは千歳のばっくばく言ってる音で。思わず笑っちゃった。





知ってたけどね。
(なんて嘘を言ってみる)