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※ぺちお様リクエスト
(クリスマス&誕生日ネタ)


クリスマスに恋人同士でイチャイチャするのは、日本だけなんだって。隣に座る越前君に言うと、へえそう。と短く返された。
少し沈黙が気まずい。
私は昨日、「世間は明日クリスマスイブでも私は一人悲しく家でごろごろするんだー!」と思っていたのに、今日は越前君に何故か呼ばれた。独り身同士で傷をなめあうわけでもなく、越前君と私は駅前のカフェでカプチーノを並べてイルミネーションをぼんやり眺めている。
呼ばれた理由も、なんとなく呼んだとか言われてよくわからない。話す事もなくて温くなったカプチーノを啜る。

「今日、そういえば誕生日だったね」
「覚えてたの?」
「今思いだした」

一瞬だけ目を丸くした越前君はなんだ、とぼそり呟いた。そのあとに馬鹿みたいと続けるような気がして、ちょっと子供っぽい越前君に笑った。

「何、笑ってんの」
「いつも越前君ってクールだから。なんか歳相応の仕種とかしてると安心する」
「安心?」
「うん。同じ"人間"なんだなって思う」

本当に「馬鹿じゃないの」と越前君が言った。酷いなぁ。私達にとって君は高嶺の花なんだよって言ってあげたい。みんな、みんな、越前君に想いを寄せてる子は敵なのに。君はまるで同じ人間じゃないような気さえする高嶺の花なんだよ。人間でない気がするのに、手の内にさえも、手も届かないなんて辛いよ。かくいう私も"想いを寄せてる皆"のうちの一人で、私が聖なる夜って言われる今日に君の隣に居ていいのかまるで不安なのに。
馬鹿じゃないの、は酷いよ。

「おめでとう、越前君」
「……ありがとう」

それでポーカーフェイスはズルいや。越前君の気持ちも推し量れない。私を呼んだのには脈があるって事じゃないって言い聞かせでもしないと、私は期待しちゃうよ。期待しなきゃ裏切られないのに、君がメールで呼んでくれた時から期待させて止まないんだもん。

「メリークリスマス。」
「何、いきなり」
「これ言ったら、雪が降りそうな気がして。好きでしょ、雪が積もるの」
「別に。ていうか馬…」
「あれ…雪降ってる?」
「え?」

今年初めて見る雪が、クリスマスイブで、しかも越前君の隣で見ている。こんな嬉しいシチュエーション、生きている中で無かったと思う。私って幸せ者だ。

「外出られないね」
「なんで?」たい」

君の隣に、ずっと居たい。
そんなの言葉にしたら、恥ずかしいから言わない。それに言えない。絶対に想いが伝わらない限りひた隠しにしていくつもりだったんだけど。

「名字を呼んだ理由、聞きたい?」
「……うん。」
「名字に誕生日祝って欲しかったから」
「私に?」

越前君は静かに頷いてから、また唇を開いた。

「名字が、好き」

想いが伝わっちゃったから、言わなきゃ駄目だよね。



白い世界で君と
(ねえ、君の隣に、ずっと居たい。)




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ぺちお様、リクエストありがとうございました!
「寒いもん。ずっとここに居