コンビニエンス・ラブ | ナノ



※再びしもいの入ります※


「例の彼の話なんですけど」
「どうだった?」
「私的には悪化しました」

イラっとしたオーラが私から出ていたのかもしれない。先輩は焦ったような表情をしてちょっとだけ縮こまった。別に怒らないからただひたすら対処法が知りたい。

「コンプレックスの話…したから、いつでもヤれるみたいな雰囲気になりました」
「あら…まあ……」

先輩は冷や汗だらっだら。私は落ち込みでどんより。ちょっと客が減ったような気がするけど、気にしない。それより誰か対処法を…!

「もういっその事ビッ〇になってもいいかもしれない!」
「浮気すれば?例えば俺とか!」
「やめてください至極キモい」
「じゃあ一体どうすりゃいいんだよ…」

7時の針とちょうどピッタリのタイミングで客が入ってきたのを見て、先輩がいらっしゃいませーとやる気のない声をあげた。そして「おお、」と言い、私の肩を叩いて「来たよ」とだけ言った。

「なまえさん、どないしたんですか?」

久しぶりの謙也くんと白石くんがいた。

「………け、謙也くん達!え、部活帰り?こんな遅くまでやってたの?」
「この時期は忙しいんや。全国があんねん。で、その全国を前にして本格練習…の前に会いに来たんやけど」
「なんや落ち込んどりませんでした?」
「……うーん、立ち話もなんだから奥でどうぞ。あ、平気ですよね。先輩、レジ頼みます」
「仕方ない。任されたぜー」

この店の奥にはテーブルと椅子が四つあって主に休憩の人たちがよく使う。それを使って私達はテーブルを囲んだ。
前、先輩に話した事や今日話したその後のことを話すと二人もいつになく真剣な表情をしてくれた。前に言ったようにイケメンだから、その様はやたら決まっていて話してる間にもたまに見惚れることもしばしば。それでも二人は私の長話を延々と聞いてくれた。

「なるべく別れる方向に持って行き」
「うん。頑張る」
「別れる決定打になるような嫌なこと、好きやない事を用意しとけば完璧や。別れ話んときに言い並べたらええ」
「わかった」
「その男、好きやないんやろ?」
「うん。好きじゃ、ないんだよね」

恋愛慣れしてるのか人との付き合いがいいのか(悪いのか?)大体アドバイスをくれるのは白石くんだった。謙也くんはずっと押し黙って帰るときだけ「気張りや」と苦笑いみたいな笑顔で去っていった。

謙也くんはもっと励ましてくれると思ってたからすこし拍子抜けしてしまったなんて、ね。
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