コンビニエンス・ラブ | ナノ

「い、いつ空いとります?」

本日ここへ来たのが二回目の謙也君に唐突にそう聞かれて思わず「へ?」と返す。いきなりすぎて何があったのか理解できなかった。
すると、例の包帯の子が補足説明してくれた。

「いつも俺ら学生にようやってくれてはりますやろ?やから、たまにはお茶でもして気ぃ抜いてもらおうかと」

にこにこと話す彼らには悪意が微塵も感じられず、むしろ一緒に行きたくなる。私も一度お話してみたかったから、ちょっと嬉しくなった。ええと今度の休みは確か…あ、今日が空いてたはず。

「あと30分で上がりだから、待っててくれたらそのまま行けるよ?」
「ああ、それがええな。」
「ほな、テニス部に顔出してきますんで。また」
「うん、また後でね」

部活休みなんじゃなくて、ちょっと抜け出してきたらしい。確かにジャージ姿で来てたから部活はやるつもりだったのかもしれない。

「なまえちゃん、ちょっといい?」
「はい」
「レジの調子が悪いみたいで」
「えっ…」

あ、30分で上がれそうにないかもしれないな…これ。








自力でレジを直してから30分が過ぎて、上がる前の最後になるだろう客をさばき終えるとジャストタイミングで、ジャージ姿ではなく制服姿の三人が来た。
ちょっと待ってもらって着替えてから出ると改めて自己紹介が始まった。

「四天宝寺中三年、テニス部部長。白石蔵ノ介や」
「同じく三年、テニス部の忍足謙也いいます。」
「四天宝寺中二年、テニス部、財前光。よろしゅう」
「唐澤経大のみょうじなまえです。一人暮らしなのでバイトしてます。よろしくね。とりあえず…何処いこっか。」
「んなら、サイゼ○ヤでかまへん?なまえさんもそれでええですやろ?」
「うん、学生の味方だしね」

初めてではないけれどあまり話したこともないから、話せるか心配だったけれど、流石は大阪人らしく話が面白い。白石くんは主に話の主導を握り、引っ張る。謙也くんはそれに対するツッコミ、たまに天然らしいボケをかまし、財前くんも大体冷めたボケかツッコミしかしない。だけど生粋の大阪人は東京人とは違うんだなぁと思い知らされるくらい、面白い。

大学にあんまりこういう子たちを見かけないから、凄く新鮮…というか、なんだかお姉さん感動しました。

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