▼うだうだ考える話109/21 00:08
電車の中で友人に勧められた小説にかじりつく。面白いというか惹きつける魅力があると思った。覆面作家が恋に落ちる話。ジレンマを感じながら身を委ねるか否か。まさに理性と本能の間で揺れ揉まれながら展開していくはなし。
あまりにも夢中になり過ぎて思わず下車の準備が遅れて戸惑う。足が縺れ、ローファーの先で自分の足を蹴り飛ばしながらなんとか下車。それでもまるで叩きつけるように発車のベルが鳴り、騒々しい朝だなぁと自分だけが周りの速さから置いていかれたような空気だった。きっと自分が寝起きだから頭が回っていないのだろう。そのまま同じ学校に通う生徒もまるで電車の中の乗客と同じ赤の他人のように私を人の波で飲み込んでいく。このくらいの距離がむしろ心地いいのだ。他人は他人。一期一会を逆手にとったような。割り切った関係が。だからこそ腹を割って話し会えるような気の置けない仲への憧れは色濃く有ったように思う。
彼とは仲良くなれると思ったんだけどな…。
その視線に一切気がつかないまま彼は今日という日を過ごしていくんだろう。
<< >>