▼財前 x よくわからない
よくわからない財前夢
去年書いた掘り出し物。


たまにちらちらと湧き上がる恥ずかしさに似た気持ち悪さ。居所もないその感情をかき消すように額を手の甲に押しつける。思い出したくなんかない。
「なにしとんねや」
あほ、とまでは言われてないのに聞こえたような気がした。なにしてんのって、私にもわからない。叫びたいんだかじっとしていたいんだか走りたいんだかしゃがみたいんだか。何をすればいいかもわからない。右往左往も出来ない。私はどこに行こうとしてる？どっちを向いてる？
ふら、ふら。ちゃんとした歩道もない道路を曖昧な足取りで歩く。光はちゃんと後ろをぴったりついて来てる。なんでついてくんのよ。ふざけてんの。
「あっぶな…！」
急に腕を引っ張られて、車にひかれないようにしてくれたのがすぐわかった。あ、う、ごめん。強く握られた二の腕が痛い。痛いけど発熱してるみたいに熱い。
なんだ、それ。
「お前、危なっかしいねん」
「目が離せないわけですか」
「自分で言うなや」



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