メモ | ナノ


▼白石 x その笑顔と
08/02 11:36  s h o r t

私の好きな人は、いつまで経っても結婚しない再従兄弟(はとこ)のお兄さん。
白石蔵ノ介っていう人。
昔からテニスが好きで、中学高校はずっと没頭してたのを誰より私が知ってる。テニスしてる蔵ノ介くんが好きだからってずっと張り付くように見てた。テニス部部長だったから、彼の周りには人が集まって信頼したりされたりしてて。かっこよかった。
勿論今でもかっこいいのは変わらない。大学生になってから更に大人っぽくなって卒業し製薬会社で研究をしている今ではすれ違ったら誰もが振り向くような美貌。そして泣かせた女は星の数、だと思う。

「どしたん」
「蔵ノ介くんって、綺麗だなって思って。うらやましい。」
「お前のが綺麗やで」

そういうのサラッと言えちゃって違和感ないのが怖い。
綺麗だなんてお世辞、言わないでよ。その言葉はここにいるのが私じゃなくたって言ってるんでしょ?私は蔵ノ介くんの横に立ったら…蔵ノ介くんの引立て役になるだけなんだから。
でも、卑屈な自分の真反対に褒めて欲しい自分がいる。
もっと綺麗って言って?可愛いって言って?蔵ノ介くんに褒められる為に努力してるんだよ。いつか隣に立っても恥ずかしくないような女になるから。

だから、いつか、ずっと傍にいさせて。

「お世辞言わなくていいよ〜!蔵ノ介くんかっこいいんだからその言葉は大事にとっときなさい!」
「なんや俺がチャラいみたいやんか!」
「むしろチャラくないのー?」

知ってるよ、蔵ノ介くんはそんなチャラくない。告白される度に断ってた事くらいわかる。
蔵ノ介くんは誰かと付き合った時、別れた時に必ず報告くれるから。
聞かない方がつらくないのはわかってるはずなのに、聞いちゃう私はどれだけ馬鹿なんだろう。
(好きです、蔵ノ介くんが。)
言えたらどれだけ楽になれるのだろうか。でも、言うにはまだ遠すぎる。まるで妹を見るようなその視線が、頭を撫でる手が私は嫌いだ。
嫌いだから、笑顔で覆い隠す。
私はいつまでこうして笑っていなきゃならないんだろう。

その笑顔と向き合えますか
(突破口は見えない)



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