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あたしにはあたしの生活ってものがあるのだ。いくら彼氏だからってそれを邪魔されたらあたしはもちろん嫌になるし距離をとってみたくなるものである。そんなこと、世間の常識を知っているのなら当たり前のことなのじゃないかとあたしは思う。



なんどこんなことを思うか。ことはこうだ。あたしは彼氏の臨也と喧嘩をした。理由は簡単である。プライバシーの侵害だ。人の家に監視カメラをつけようとしたのだった。臨也の言い分は部屋じゃなくて玄関だからいいじゃない、とのこと。もちろんよくないに決まっている。これは立派な違法行為なことを臨也は知らないのだろうか。



プルルルル、プルルルル



携帯が鳴る。サブ画面を見るとそこには『折原臨也』と今その姿を見たら思いきり殴ってやりたい人物第一位に堂々とランクインされているはずの名前。もちろんあたしは電源ボタンをぽちりと押した。臨也なんかからの電話なんて出たくない。出るならまだ静雄の方がマシだ。そして標識で臨也をぼこぼこにしたらいい。それか思い切りスイングして臨也をホームランさせるのが希望。



「いーざーやーくーん?池袋に来んじゃねぇよ、ぼけがぁあああ!!」

ばっこーん



どうやら電話ではなく本人登場。そして臨也が近くにいたことがさらに驚きである。きもい、寒気がする。池袋のはずれにある我が家から来たのか。あ、そういえばあの監視カメラはどうなったんだろう。あたしが飲もうと思って持っていたペットボトル500ミリリットル入りのお茶、しかも開けたてを頭から、臨也の手と一緒にかけてやったからもう使えないはずだけど。




「おや、結じゃないか。カメラがお気にめさなかったみたいだけどやっぱり俺としては心配だからこれからはGPSをふんだんに使わせてもらうよ。あぁ、最初からこうすればよかったんだね。これで結はどこにいるかだなんてすぐわかる。俺らはいつでも繋がっているんだ、っあ!!」



お手々を合わせてなーむー。静雄という今のあたしの救世主、メシアに感謝の気持ちを。ここに静雄がいるのに一瞬でも気をゆるましてこっちにそのよく動く口をよこしてきたのが悪かったんだな。とりあえず、ざまあみろ、臨也。携帯からGPSって離せないのかなぁ。

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