short | ナノ
今日は女の子の決戦日!といっても過言ではないバレンタインデーだったりするのです。本命チョコをあげたのはそう、5年前の小学生の終わり頃だったような気がするけどもあんなの数に入れないとして私は初めての本命チョコを、今この手に持っているのだから自分でもびっくりだよ、昨日うきうきしながら用意した自分に拍手!きっと今の気持ちだったら用意することさえ出来ないだろうから。


「臨也さんは、甘いの大丈夫かな…」


もし駄目だったらどうしよう。そんな言葉が体中にぐるぐるぐるぐる。いつか体の中に入りきらなくなって破裂しちゃうくらい。あとは受け取って貰えないだとか受け取ってくれるけど家で捨てちゃうとか!手作りなんて何が入ってるかわかんないしねぇ、て臨也さん言いそう。…そうやって想像出来ちゃうのはなんでだ。好きだからか!あたしが臨也さんのことを愛しすぎちゃってるからね、仕方ないを。あ、平和島さんをバカにしてるときみたいにやられたら、あたしダメージくらって立ち直れないかもしれない。なにそれ、考えたくない!こうなったらもう、フィルターかけるのよ。フィルターかけちゃえばどんな臨也さんだって何言われたってポジティブに考えられるし愛してるって言って貰えるもん。そう、そして名前で呼ばれちゃうことだってイメージ出来ちゃうの。あぁ、恋愛フィルター最ぶちっ!


「いたっ…何すんの!イヤホン抜くなんて…って、あら、臨也さんこ、こんにちは!」

「俺のことつけまわってるのはわかってるんだ。なのに俺が君に完全に撒いてるとわかるように動いてるのについてくるなんて君は何者なんだい、結ちゃん」

「え、えとただの女子高生です!」

「ただの女子高生は君みたいなことはしないね。で、何か用なの?いつもよりしつこいじゃないか。そういや今日はバレンタインだね。チョコレート会社の陰謀、てとこかなぁ?」



いつものファーのついたジャケットの両ポケットに両手を入れながら話す臨也さんの話はあたしの行動を読んだかのような命中ぶりでこれも情報屋だからか…!と思った私はきっと臨也さんにしてみたらわかりやすい人間なんだろう。きっと私が臨也さんのこと好きってことを臨也さんは知っているような気がしてしまった。実際そんなのはいつも思うんだけどいつもより臨也さんが近くにいるからかな?感覚が麻痺しちゃってるのかもしれない、なんて幸せ者なの!だからなんでも言えるような気がするのかな。


「臨也さんの言う通りかもしれないです」

「…は?」

「あたし、チョコレート会社に乗せられて頑張って臨也さんのために手作りしちゃったんです」

「俺が挑発させちゃったからそんなこと言ってるのかい?それだったらやめなよ。ここではっきり言ってあげようと思ったんだ。ねぇ、君は俺が愛してるのは人間ということは君だって知っているはずさ」

「それでも臨也さんは私の気持ち、知ってるはずですよね?私が愛してるのは臨也さんだってこと。大好きですよ、臨也さん!」


差し出したチョコレートは空中で宙ぶらりん状態だ。さっきまで考えていた嫌な状態かもしれない。でも不思議だ。全然恥ずかしくない。嫌な気持ちでもない。なんだろう、はっきり自分の気持ちを言ったからかな?すごく、すっきりした感じがする。


「やっぱり、受け取って貰えませんか?」

「君が本気でそんな目を向けてくるからだ。俺はたった一人へ向ける愛なんて持ってないから君のは受け取れないし、それ以前に君の愛は俺が対処しきれない!重すぎるんだよ、君はストーカーなんだから!」

「絶対に持たせてみせます!だって私は臨也さんのことが好きなんですからね、しつこいですよ!それわかった上でそんなことを言ってくださいってことでまずはこれを受け取らせてみせます」

「はぁ?君話が通じないみたいだね。そんなやつ、消えてほしいよ」


そう言うと臨也さんはあたしの目の前からふっと消える。あちゃ、もうあっちまで行っちゃった。あたしも追い掛けなきゃいけないな!チョコだけ安全にして、よし、バレンタイン追いかけっこのはじまりだ!

大好き臨也さん、ハッピーバレンタインですよ!



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ハッピーバレンタイン?

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