3.ま、悪くないね(越前) 『分かんない・・・・・。』 誰もいない図書室で呟かれたユリの一言。 唯一、5教科の中で苦手な“英語” その実力は、壊滅的。 わかりゃしない。 ABCぐらいは分かるけども・・・・ それだけ分かってたって、英語が出来るわけじゃない。 「うわー。悲惨だね。」 『!!!!!』 その声は・・・ 『越前くんじゃないか・・・。』 「悲惨だね、その英語。そこまで分かってない人初めて見たかも。」 2回言ったね。“悲惨”って・・・ 分かってるよ? 自分でも。 悲惨なんだッよ―――。 『図書室に用??何か借りに来たの?』 「一応。でも、珍しく勉強してる先輩が見えたから、此処に来た。」 本借りに来たのか・・・ 意外だな。 って、本持ってるじゃん。 『英語の本。』 「あ、うん。大体借りるのは英語で書いてるやつ。」 ケッ。帰国子女だからって自慢してるのか? 「あのさ、前も言ったけど。先輩、思ってることが顔に出てる。」 『・・・。 そういう人間なんだよ、私は。』 「折角だから、英語教えてあげるよ。」 『マジで!?』 「うん。暇だし。」 『でも、あたし先輩。君の1個上。』 「大体分かるから。」 『そっか。』 「じゃあ、早くその問題解いて行って。」 越前くんのご命令で、私は英語の問題を解くことになった。 ・・・・・・・・・・分かんない。 サッパリだよ。呪文のようにしか思えない。 「最初っから教えないといけないわけ?」 なんて、ブツブツ言いながら、丁寧に教えてくれる越前くん。 意外と良いところあるじゃん!!((( 「今日の仕上げに、その模擬テスト解いてみて。」 そう言った越前くんの視線の先には、あたしがさっき借りた 英語の模擬テスト集がある。 『ふぅ。頑張るか!!』 自分に一喝入れて、最後の仕上げに取り掛かる。 『終わった―――――!!』 「やっと終わったの?」 『うん!!』 「・・・・・・・。」 採点をしてくれてる越前くん。 その横顔はとても綺麗で、皆が惹かれるのも少しは理解できたかも。 「何、凝視してるんっすか。」 『あ。ゴメンゴメン。ついついね。 ところで、採点終わりました?』 「できたけど。」 『どうだった??』 「ま、悪くないね。」 『そっか、そっか。ならよかったよ。』 「じゃ、俺部活あるから。」 そう言って立ち去ろうとする越前くん。 『越前くん!!』 「何すか?」 つい、呼び止めてしまったけど、何も言うことがない・・・。 『えっと・・・。あ!!』 ふと思いついた話題。 『今日は、どうもありがとう!!』 「別に、御礼言われるほどのことはしてないっす。」 ちょっとだけ、顔を赤くしてそんなことを言う、小さなルーキー。 そんなときだけは、中1なんだなって思ってしまう。 ありがとう越前くん。 2012/01/04 - - - - - - - - - - 感想は、お気軽に Mailからどうぞv(o´∀`o)v |