始まりの場所で愛を叫ぶ (向日)

昼休みには、生徒の声でにぎわいを見せる生徒玄関。
でも、放課後になってみんなが帰っちゃうと、
一気に閑散とする場所。


そんな場所で、私と君の関係は始まったんだ。















ちょっと話があるって呼ばれたこの場所。


『呼んだ本人が遅刻ってどうゆうことだ。』


約束した時間から10分ほど経った。

通り過ぎていく友達に“バイバイ”と告げる。



そんなことを繰り返すのにも飽きてきた私から出た一言。

『遅い。』






そう呟いてからさらに5分後、彼は跳ねながらやってきた。





「わりーーユリ。ちょっと先生がさ!!」



『言い訳は良いよ。用件は?』


ちょっと、冷たく言いすぎたかなと思ったけど、
言葉にしてしまったのでしょうがない。







「あ。。えっとさ。」



珍しく口ごもる向日。



『・・・。なに。』




「付き合って欲しいんだけど。」




『・・・・・・・・・。はぃ??』









あの時は、まさかって感じで、
そのあと、どんな会話をしたのかさえ、私は覚えていない。



特に意識はしてなかった。
というか、まさかそんな風に見てもらえてるなんて思ってもいなかった。






“別にいっか。”そんな気持ちで始まった2人の関係は、
いつの間にか、大切な関係に変わって行った。









『岳人!!』


「おう。」




私が呼ぶだけで、一緒に変える合図だってことを分かってくれる。

私が悲しくなった時は、直ぐに気付いて声をかけてくれる。

愚痴だって聞いてくれるし、私も聞いてあげる。



私にとって岳人は、掛け替えのない人だし、
きっと岳人もそう想ってくれてると私は思う。








だからこそ。

もう一度ここに来たかった。





2人の始まりの場所。

そして、もうすぐ旅立ってしまう。


2人には“卒業”という名の別れが近づいてきてた・・・。





学校は違っても、2人の関係は変わらないし変えない。



その誓いを確かめるために。


『大好きだよ。岳人。』


始まりの場所で愛を叫ぶ
生徒玄関で囁いた言葉が君に届きますように




2012/02/22    完成

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