小説 長編 | ナノ



失って初めて気づく大切さ


『雅治は、ブン太と私の事どう思う?』



バラはそんな風に尋ねてくる。



「カワイイのう。(小声)」

『え!?何だって??』




つい、漏れてしまった本当の気持ちかもしれない気持ち。



でも、バラはもう、俺とは違う男の隣にいる。



それに、昨日ブン太も嬉しそうに話よったからのう。





俺が2人の間に入って邪魔してバラに悲しい思いをさせたくもないしな。






「似合う(におう)とるよ。・・・・・・・・プリッ。」 そう言うと。


『そうか。うん。あ、うん。ありがと。』

バラはそう言って悲しく笑った。






いや。違う。バラを奪われて俺が勝手に思い込んで。
・・・・・・・そう見えたのかもしれん。







『・・・はる。雅治!!!』

「お、おう。スマンのう。呼んどったんか。」




つい、ボーッとしてしまう。

考えてしまう。バラとブン太の事。



バラは俺の中でこんなにも。




こんなにも、大きな存在になっとったのか。





誰かがそんなこと言っていたような気がする。





『何か。ボーっとしてるね。』



「あぁ。少し考え事があってのう。」




そんな事を言いながらその日の昼休みはそこで別れた。

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