段々と幻覚がひどくなる。

あと少し。

海の底

花畑

人影。

あと少しでわかるから。

そこにいるのは だれ?









「お前の弟は随分とじゃじゃ馬だな。」


ある日英国に言われた。

「…菊は良い子あるよ。」

たとえ自分の衰弱に彼の一因があるとしても。

「お前よく言えるもんだな。」
お前の一番の敵は今や大日本帝国だろう、と笑う。

「菊に裏切られて寂しいあるか?阿片。」

「…ッ!!」

ガッと掴み掛かられる。
向こうからうられた喧嘩だというのに理不尽だ。

「黙れよ」

「お前も寂しいヤツあるな阿片。菊が居なくなれば一人ある。」
「黙れ」

「世界で一人ぼっちはお前が一番恐れていることな」
「うるせぇ!!」

殴られた頬が痛いはずなのに。
ああ そうか。

罌粟の毒は痛みから救ってくれるから。


でもこんな痛みなら全然我慢できるのに。

「菊の事を愛していたとでも言うあるか?本当の友人になれたとでも?」

それは我のこと。
我はただあの子に―――。


「お前のせいある」

違う。
ああでもこいつが我に阿片を渡さなければ。

「こんな風にはならなかったある」
違う。
それは私が弱かったから。

「我はわたしが嫌いある…」

苛々する。叫びたい。なんでも良い。何か八つ当たりできるものなら。

でも手近には何もなかったから自分の髪を掴んだ。

引っ張る。
「おい!!」

ぶち ぶちり と音がする。
いたくはない。

「止めろ!!」
英国に腕を掴まれる。

コイツの前だけでは泣きたくなかったのに。

痛みを感じないはずなのに、我は弱くなってしまったと思う。




「何でよりによってお前あるか!?」

わかっているのです。
わるいひとだと。

「我はお前が」


沈んでゆくことは怖くありません。
沈んだ先で貴方が受け止めてくれないだろうということも知っています。


けれど。








「お前がすきある…」









沈んだ沈んだ海の底
何故か広がる罌粟畑。

そこにいたのはあなたでした














君も雛罌粟(コクリコ)われも雛罌粟



もう染まりすぎていて。

浮き上がれますか。

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後記:君も〜は与謝野晶子様の詠から引用致しました。
しかも本来の意味とは異なる解釈ですががが…
厳密にはコクリコはひなげしの花なので、阿片は採れません。

というより最近私の厨二成分がだだもれてる(-_-;)

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