いっそ無意味なキス


注意
この作品には一部不適切な表現があります。
苦手な方はご注意ください。
















「ねぇ愛しているって」

「……。」

いくら俺が菊に話しかけても菊は反応しない。


目線すら寄越してくれない。


「爪先にキスしたいくらい」

「……。」


菊の表情は変わらない。
相変わらず



ねぇ、本当に俺が菊の爪先にキスしたらどうする?

「……。」

つまらなそうに菊は足を組み直した。







「…貴方は無駄が多すぎるんですよ」

やっと菊は口を開いた。

「無駄な装飾、表面だけの易いあいのことば。
見ていて不愉快です。貴方の声を聞いているだけで虫酸が走ります」


「愛してるよ菊」

俺の愛の言葉に菊は不快そうに眉をひそめる。


堪らなくなったから菊の爪先にキスをした。

靴ごと。


菊の髪と瞳と同じ夜色の革靴に丹念に舌を絡める。

更に菊の眉間の皺が深くなったことに気づいていたけどやめない。

靴裏を舐めれば流石に口の奥でじゃり、と音がした。


「やめてください。
靴が汚れます」

「好きだよ菊…」


菊が俺の言葉に反応してくれる、それが嬉しくて堪らない。

今菊の瞳に映り込んでいるのは俺だけ。

菊が俺のために睫毛一本、身体の筋をほんの少し動かしてくれるだけでも十分すぎる。





例えそれが軽蔑の念からくる行為でも。


「ねぇ、菊は俺のこと嫌い?」「いいえ」

だからって正反対の意味ではないことくらいわかっているよ。

「じゃあ…俺のこと好き?」
「いいえ」


その言葉で俺はいつも塵よりつまらない存在になった気分になる。

でも、心のどこかで安堵している。


菊が誰かを愛する、なんて。


なんて似合わない事だろう!





「ねぇ、打ってよ菊…」


興奮してきたから更に求めた。

「それは“役割”としてですか?」


その願いを押し付けたとき菊はただ頷いた。

『それで貴方が救われるのならば』




恋人なんて甘い関係は要らない。

ただ俺の絶対君主として存在してほしかった。

「そうだよ」



彼になんの感情も抱かれてないことはわかっているよ。いつだって。













A kiss on the hand is respect,
  a gentle kiss on the cheek is friendship,
  a soft kiss on the lips is love,
  and a soul kiss is full of passion.









後記
ブログの方にあぷしたものの系列がこれです。
朝起きた時、「唾吐きかけられて射精よくね!?」っておもいついたことからできた作品。

そうです。管理人は変態なんです。

菊目線に続きます。



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