朝の始まり、無意味な応え

(…今日もか…)


明け方近く。

先程まで泣いていたフェリシアーノはやっと寝たようだ。


窓の外は薄青く、冬の気配がする。





彼が何を泣いているかわからない。


ただ聞こえてきた名前は今は亡き――。



“神聖ローマ”



(なにもできないというのも苦しいものだな…)



せめて頭を撫でる。
さらりとした手触り

赤い目元。


誰にでも大切な思い出がある。

大切な人との記憶。

自分が立ち入るべきではない領域。


(本田を見習わなければいけないな…)

彼は相手との距離の取り方を心得ている。

彼ならきっと対処の仕方も知っているのだろう。

しかしここに彼はいない。


はぁ…とため息をつく。


ふとフェリシアーノを見ると、彼の閉じられた目蓋には涙が浮いている。

それを指で拭うと額に軽くキスをした。


どうか彼が、幸せな眠りにつけますように。




「おやすみ。フェリシアーノ」





外は暗く。


しかしすぐにくる朝の気配に満ちていた。








あいしています あいしています。

あなたはこんなにも近くにいるのに。

私は何もできません。
















届かない言葉なんて、いみはないのにね。


ああでも それでも。















後記 珍しく√視点です。
夜に友達に、涙を拭うのは舌か指か議論になったのは良い思い出。
“夜の真ん中、無意味な問い掛け”の√視点で時間はほんの少し後のことです。

別館の頃からちまちま考えていたのですが、だってあのままだとフェリシアーノが可哀想で…(つд;*)

でも結局切ない…なんだこれ

私の文は少女漫画してて嫌だなぁと反省。



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