夜の真ん中、無意味な問い掛け
消えないで――
夢だってことは分かっているから。
どうして今更こんな夢を見るんだろうね?
「…イタリア…っ!」
そこに居る彼は彼のままだった。
「神聖ローマ…?」
そこに居る俺が俺のままだったように。
「俺と一緒に行こう…!」
かつての彼と同じように手を差し出して来る。
この時俺がこの手を取っていれば。
もしかして神聖ローマは消えなかったのかな?
ねぇ、分かんないよ。
***
「――ッ!」
汗でシーツが不快にくっついてくる。
「んぅ…」
確かめると時計の針は夜中の2時過ぎをさしている。
横にはルートが。
一瞬彼と被ってしまってこまっちゃうな。
指先で横に眠っているルートの髪に触れてみる。
さらりと手から逃げる、君と同じ色の髪。
二人は似てる。
でも俺は、ルートを神聖ローマの代わりにはしていないつもり。
でも最初は。
神聖ローマの面影をルートに追ってた。
だけど二人は違うし、それは当たり前。
それはわかってる。
だけど、ね、
さみしいよ。神聖ローマ。
逢いたいよ。
俺は未だに判らない。
あの時君の手を選べば。
判らない。わからないよ
泣いてもわからないけど。
他に何して良いかわからないから。
今夜も俺は泣いてみる。
キミによく似たキミの隣りで。
夜の真ん中、無意味な問い掛けこんにちは。さようなら。
あなたがいるのに
私はひとりです。
後記 旧館のものを加筆修正したものです。
お久しぶりです。
私はなんとかやれているようです。
[ 3/13 ][*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]
top