だから物欲は早めに捨てましょう、ってはなし
2012/05/16 21:19

うさぎさんはぽろぽろとなみだをながしました。

「どうしたの?うさぎさん。
なにか、かなしいことでもあったの?」


そんなうさぎさんをみてともだちのくまさんもかなしそうです。


「じぶんがいなくなったあとのせかいについてかんがえていたんだ」


「どうして?」


「ふかいりゆうはないけれど」
「そう」

「ぼくらはしんだらどこにいくのかな?」


ぽつり、とうさぎさんはつぶやきました。


「ぼくのとうさんはしちゅーになったし、かあさんはそれであたまがおかしくなってしんでしまった。
おじいさんはたしか…ぱいだっけ?」


「そうかい。ぼくのとうさんはにんげんにうたれてしんでしまった。
まったくゆうかんで、さいごまでぼくとかあさんをまもりぬこうとしていた」


「つよいおとうさまだったものね」

くまさんのめはすこしうるんでいました。


「そこでかんがえていたんだ。しんだらぼくはどこにいくのかなって」


「それはむだなことだよ、うさぎさん」


しんだらなにもなくなってしまうもの、とくまさんはかなしげにめをふせました。

「じゃあ、ぼくのたからもののこはくや、くつしたもしょせんかりものなんだね」


しんだらなにももってはいけないから、とうさぎさんはいいます。

「そうだよ、そうかんがえるといろいろかっていることがばからしくなってしまうだろう」



「…かなしいね」


「そうだね」



「だからしんでももっていけるなにかをぼくらはたいせつにするんだろうね」




そういったうさぎさんをくまさんは「ばかだなぁ」とわらいました。


「きみもぼくももっているものさ」


「それはなんだい?」

「きみがしんだらぼくはそれをかなしいとおもう。
そうさせるのはこころだ。
だからぼくらはこころをもらっていくのさ」


どうだい?そうかんがえるとしぬことがほんのすこしだけこわくなくなるだろう?



それをきいたうさぎさんはうれしそうにわらったあと、しずかにたおれました。


うさぎさんはもうめをあけません。






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