とくにすることもなく、雑談をしながらソファに横たわること数十分。真ちゃんがだんだんと船をこぎはじめた。いつもの習慣ならそろそろ寝る時間だし、昨日の夜更かしもある。それに加えて、その、……さっきのあれそれもあるわけだし。いつ落ちてもおかしくないだろう。
「真ちゃん、そろそろベッド行く?」
「ん……」
正直俺もかなり眠い。昨晩はこいつ以上に夜更かしをしたのだから。自業自得と言われればそれまでなのだが。
「今日は一日楽しかったね」
「……そうだな」
ふらふらとした足取りで立ち上がる真ちゃんを支えて歩きだす。本当は抱えてあげられたらいいんだけれど、身長差的にもうっかり落としたりしたら大惨事だ。ちなみに以前俺が酔いつぶれたときに軽々抱き上げられて陰で泣いたのは内緒です。
ベッドにたどり着き、ぼすんと勢いよくダイブする。ふかふかのこれもまた、ソファと同じく二人で買ったものだ。
「じゃあ寝るか」
「ああ。高尾、」
「ん?なあに?」
真ちゃんの腕がゆっくりと俺の肩に乗せられる。そのまま静かに整った顔が近づいてきて、触れるだけのキスをひとつ。
「……今日は楽しかった。ありがとう」
ふわり、優しく真ちゃんが微笑む。
ああくそ、なんだこれ。
「あーもー、真ちゃんってほんとにさあ」
幸せすぎて死ぬ、って言ったらきっとこういうことだ。
誰よりも強くてかっこよくて綺麗でかわいい、もう随分と昔から俺のなかで一番のひと。きっと間違いなくこれからもずっと。
「どうしたのだよ?」
「生まれてきてくれてありがと、ってこと!」
お前のこれからの一年も、願わくは俺が隣にいられますように。
≪