腰が痛い。これは完全に百パーセント火を見るよりも明らかに今現在俺の腰というか腹に抱きついている男のせいだ。エアコンのお陰で暑くはないが、諸悪の根元がこうしてへらへらとしているのは無性に腹が立つ。

「ん、なあに真ちゃん」

「お前はいつまでそうしているつもりだ」

「だって真ちゃんに無理させちゃったじゃん。こうしてれば少しは楽になんない?」

高尾がゆっくりと顔を上げる。ソファに座った俺の太股に頭を乗せ、両腕を腰に回した姿は大の男二人がするにはどうなのだろう。もっとも、大の男二人が恋仲といった時点で世間一般からはかけ離れている気がするが。

「そう思うなら初めから加減していればいいのだよ」

腰をさする掌が気持ちよくないと言えば嘘になる。痛みより疲労が滲むそこに、人の体温は心地よい。
申し訳なさそうな口振りと表情に、こいつは本気で反省しているのだということはわかる。それに、触れ合いたいと思っていたのは俺も一応同じだ。けれど限度というものがあるだろう。こいつみたいな奴を絶倫と呼ぶのだろうか。

「うー……次からは気を付けます」

ぎゅう、絡み付く腕に力がこもる。それが嫌でなくてむしろ口元が緩みそうになる自分がいた。
とりあえず、今日のところはわかればいいのだよ。
許してやるの意味を込めて、湿り気を含んだ黒髪に軽く指を通す。高尾は驚いたように橙の瞳を見開いて、それからへにゃりと幸せそうに微笑み頭を腹に擦り付けてきた。


 


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