朝は高尾が作ったので、夜は俺の番だ。しかしさて夕飯を作るかといったところで大変なことに気がついた。冷蔵庫の中身が悲惨だ。何もない方向で。
卵を今朝使いきってしまったらしく、残されているのはトマトがひと欠片と野菜室のブロッコリー。どうしろと。俺は高尾程が上手くない上(それでも人に出せる程度には成長したのだ)、創作料理なんて無理に決まっている。いくら人事を尽くしてもできないことはどうしようもないだろう。もっとも、トマトとブロッコリーで創作料理も何もないのだが。ベジタリアンにでもなれと言うのか。

「買いに行くしかないのだよ……」

仕方なく財布を取り出して、リビングのソファに転がっていた高尾に声を掛ける。二食も自炊しないのは経済的によろしくないのだが、断食よりはいくらもましだ。

「高尾、冷蔵庫の中身がないのだよ」

「あっ!ごめん、今朝切らしてたの忘れてた!」

高尾が慌てて頭を下げるが、確認を怠った俺の責任でもある。実際もっと早くに取りかかっていれば焦らずに済んだのだし。

「俺が行くよ」

「食事当番は俺なのだよ」

「じゃあ一緒に行こ!ついでにまとめて買っとこうぜ」

「それがいいな」

この時間なら近くのスーパーの惣菜が安くなりはじめているはずだ。ついでに明日の朝のぶんも買っておこう。夏だし野菜や肉は一週間ぶんといったところか。
再び玄関の扉をくぐる。本日二度目の外出は、少しだけ冷えた空気が心地よかった。


 


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