緑間っちの頭に何か変なものが生えている。緑のなかからひょこりとかわいらしく存在するそれは、とても人間についているものではなくて。

「ラッキーアイテムに決まっているのだよ」

真っ白なネコミミを触りながら、緑間っちは自信たっぷりに口を開いた。やっぱり、彼のラッキーアイテムは今日も予想の斜め上を行くらしい。
というかなにこれ、正直可愛すぎてやばいんスけど。狙ってんのかおは朝!

「何で緑間っち男のくせにそんなに似合ってんスか…」

緑間っちのそこらの女の子よりもずっと綺麗な顔は相変わらずの無愛想だ。けれど、そんな真面目そうな雰囲気のくせして、こんなあざといモン頭に乗っけているギャップがすごい。どういうわけか恐ろしく似合ってるし。可愛いし。それとも可愛いって思っちゃう俺がおかしいのかな。

「……そうだ、黄瀬、」

「なんスか?」

「これをやるのだよ」

悶々としている俺の目の前に、なにやら真っ黒な何かが差し出される。咄嗟に受け取り瞬きしてよく確かめると、それはまさしく緑間っちの頭にあるものの色ちがいってやつで。

「お前もつけるのだよ。今日のふたご座のラッキーアイテムだ」

「えっ!?ネコミミは蟹座じゃないんスか?」

「蟹座は『白いネコミミ』だ。ふたご座は『黒いネコミミ』なのだよ。白黒セットでしか売っていなくてな」

知らなかった、ネコミミの色まで指定するのか。おは朝、もしかしなくても手抜きだろう。
でもまあ、緑間っちからまさかの予期せぬプレゼントを貰えたたしいっか。大人しく手元のネコミミを頭につける。俺だって一応モデルなんだし、似合わないということはない筈だ。
満足げに頷く緑間っちに微笑みかける。俺たちお揃いっスよ、なんてね。気紛れな猫に付き合うのも、悪くない。




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