※アメリカ

本当は喧嘩とか、しちゃいけないと思う。けれどそれが自分の身を守るためなら、まあ、仕方ないのかなって。子供なりに頑張って考えた、彼女を正当化する理由。

「アレックス」

「あれ、タツヤ。どうしたんだよしょぼくれて」

白いTシャツは砂ぼこりを被って所々が汚れていた。けれど眩しい金色の髪は一糸の乱れも見せずに、路地裏を流れるなまあたたかい風に揺れていた。にこっと笑ったアレックスのボクより大きな掌が、あやすように髪をくすぐる。
相手は誰、と一言聞きたかった。だけどそんなことボクが知ったところで何ができるのかといえば、なにもできるわけがない。

「喧嘩したの?」

「しつこい奴を追い払っただけだよ」

心配すんな、と困ったように微笑む彼女は、やっぱりボクの知っているなかで一番綺麗なものだと思った。強くて、綺麗で、だからこそ喧嘩なんかしてほしくない。けれどうつくしいからこそそういった事態に巻き込まれるのだということが、わからないわけじゃない。
もし自分が大人だったなら、彼女を守ることができるのにな。
たいしたことができないくせに考えばかりは先だって、だからボクは子供が嫌いだ。






◆◆◆◆
アレックスさんナンパされても自力でどうのこうのするよねっていう妄想。恋とはちょっとずれたところで師匠が大好きで色々考えちゃうショタツヤください。いや恋でも大歓迎ですが。
アメリカ組がみんなお互いを自分の原点だってとらえていたらいい。




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