※おふざけすぎてもう何も言えない
高緑で赤緑で宮緑(ただしどこもくっついてない)
なんでもこいな方のみどうぞ





昔々あるところに、大層可愛らしくも美しい少年がおりました。彼は運動やら勉強やら大抵のことはたゆまぬ努力でどうにかしていたので、日々満ち足りた様子で唯我独尊に暮らしていました。
ところがある日お世話になっている親戚のお兄さんが流行り病にかかってしまったのです。ふだん何だかんだ言ってもお兄さんのことを慕っている彼は、そのお見舞いに出掛けるところでした。ついでに言うと、彼は重度のツンデレだったのです。
右手に下げたバスケットからは、お兄さんの大好きなパイナップルと今日のラッキーアイテムのケロ助が顔を覗かせていました。パイナップルはお兄さん行きつけの八百屋さんから仕入れたものです。そこでおまけにもらったリンゴをかじりながら、彼、緑間真太郎はどんどんお兄さんの家への道を進んで行きます。
ところがお花畑の脇を通ろうとした時のこと。そんな彼を背後から見つめる二つの瞳が茂みの中で怪しく光りました。言わずもがな、狼さんです。

(やっべー、すげー美人発見!)

狼さんは目をぎらりと輝かせながら、舌なめずりをしました。男にしてはかなり白い肌、長い睫毛に縁取られた翡翠の意思の強そうな瞳。緑間は、狼さんの好みのど真ん中だったのです。
狼さんは緑間のことを今すぐ食べたいと思いました(性的な意味で)。緑間はとても(性的な意味で)美味しそうで、自然とよだれが口のなかに滲みました。
そして狼さんはすぐに行動に移しました。真っ直ぐに歩み続ける緑間を追うべく、茂みに潜みながら彼の後に続きます。艶やかな黒髪の隙間から覗くふさふさの毛に覆われた耳は、好奇心によって頭の上でぴんと空を向いていました。




「宮地さん、いらっしゃいますか?」

お兄さんの家に着くと、緑間はこんこんと小さくドアを叩きました。するとがちゃりと鍵の外れる音がして、ドアはゆっくりと開きます。

「どちらさんで……、あ?なんだ緑間か。何しにきた」

「…………、です」

「あ?」

「お見舞い、です」

緑間はぶっきらぼうに手にしていたバスケットを突きだすと、そっぽを向いてしまいました。素直にお兄さんの心配をすることは、彼には少しハードルが高かったようです。
一拍おいて状況が飲み込めたお兄さんは、とりあえずバスケットを受けとりました。そして緑間の言いたいことを理解すると、なんだか照れ臭くなってしまいました。二人は無言のまま、玄関先に立ち尽くしています。

(うっわあああ!なんだよあの野郎!真ちゃんに見舞いに来て貰えるとか何様だ畜生!)

そんな二人を嫉妬全開で睨み付ける黒い影がひとつ、木陰に潜んでいました。言うまでもなく狼さんです。
ちなみに真ちゃんというのは、森の小鳥さんたちから聞き出した緑間の本名をもじったものです。狼さんのコミュ力は凄まじく、初対面の小鳥さんたちもあっさりと心を許してしまいました。そういうわけで、彼は難なく緑間のことを知ることができたのです。
しかし狼さんは冷静さを失ってしまいました。緑間と親しげにするお兄さんの姿に、邪魔をしてやると心に決めました。

「こんにちはー!」

爽やかな笑顔で狼さんは二人の前へ躍り出ました。お兄さんは憎いですが、いきなり襲いかかって緑間にまで怖がられては台無しです。まずは安心させて油断したところを(性的な意味で)食べるのです。その点を狼さんは心得ていました。

「宮地さん、あれは…」

「……狼だ。気をつけろ」

けれどお兄さんも馬鹿ではありません。訝しげな顔をする緑間をひとまず自身の背で隠すと、狼さんを睨みつけます。狼さんは一瞬びくりとしましたが、笑顔を絶やさず続けました。

「やだなー、警戒しないでくださいよ。お二人が楽しそうに話してるので俺も混ぜてくれないかなってだけっす」

「……随分と軽薄そうな狼ですね」

「ああ」

「ちょっ、やめてくださいよ。別に何もしませんって」

警戒心の強い二人がじとりと睨んでくるので、狼さんはすかさず嘘をつきました。本当はナニかするつもりしかありません。けれどそれをうまく隠すのが、狼さんが狼さんたる所以でした。
緑間とお兄さんは顔を見合わせると、目を合わせて頷きました。それを見てまた狼さんの嫉妬の炎が燃え上がりましたが、二人はそんなこと知りません。というかそんなつもりもありません。二人にはいい考えがあったのです。

「狼、名前は?」

「え、俺?」

「お前以外に誰がいるのだよ」

「あ、俺は一応高尾ってんだけど…」

いきなりの展開にさすがの狼さんも狼狽えました。まさか自分の名前を聞かれるとは思っていなかったのです。あとやっべー真ちゃん声まで美しいんだね…!と心の内で思ったりしていましたが、口にすると間違いなく引かれるので頑張って口をつぐみました。

「よし、じゃあ高尾。お前が条件を飲むってんなら仲間に入れてやる」

「条件?」

「まだ俺たちはお前を信頼したわけではないからな。近くに住む俺の知り合いの猟師の立ち合いが条件だ」

猟師。その一言を聞いて狼さんは固まりました。猟師というのは、狼さんのような野性動物の天敵です。普通猟師と出会えば生死をかけた戦いがはじまってしまうのです。
けれど狼さんは諦められませんでした。一度食うと決めた相手を逃すなど、狼さんのプライドに関わります。たとえその食うの意味がいつもと違っていたとしても。

「ぜっ、全然かまわないですよ」

「そうか。なら呼んでくるとす、」

「呼んだかい?真太郎」

「っ!?」

狼さんの返事に歩きだそうとした緑間の肩を不意に誰かが叩きました。驚きながら緑間が振り返ると、そこには静かに微笑む顔馴染みの姿がありました。

「赤司!いつの間に来ていたのだよ」

「真太郎が来ている気がしたからね」


◆◆◆
力尽きましたー!でも私が楽しいのでいつか加筆する、かもしれないです。言うだけタダっスよ先輩!
本当にこんなんですみません。皆さんの元ネタはもっと素晴らしく素敵です。宮地さんをおばあさんにするのは躊躇われたのでお兄さんです…。このお兄さん全然病気な感じがしない…。

私もチキンなのでここで。サムさん嬉しいこと言ってくれるじゃないの…!すき…!そんなこと言われちゃうと調子にのりますよ…!
13.08.08 12:57
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