いつ電話しても話し中ってそれ着拒よ
    気持ちのいい冬晴れ。積もった雪が太陽の光を反射してキラキラしているのが、少しだけ眩しい。
    久しぶりの二人でのショッピングにユキコも勿論だが、私も何処となく朝から浮かれていた。そんな浮ついたテンションのまま私たちは街を練り歩き、いろいろな店に足を運ぶ。
    午後になりお昼もとった私たちは服も靴も雑貨も買い、やれ満足と家へと足を進め始めていた。

「んー……」

    携帯を弄りながら、隣でユキコが首を捻る。どうしたの、と問えばどうやら電話が繋がらない様子。

「ねぇエイダー」
「なにかしら?」
「エージェントって、お仕事お休みいつなの?」

    むすっとした顔で告げられた言葉に、私は数回瞬いた。やけに機嫌が良くなさそうなのとエージェント、という言葉的にレオンの事であるのは間違いないのだろうけれど。一体どうしたというのだろうか。

「番号もメールアドレスも交換したのでしょう?」

    強制的に、という言葉を飲み込んで尋ねれば、うんーとなんとも気の抜けた返事が返ってくる。しかしその間もユキコは不貞腐れた様な顔のままで、若干眉間にシワもよっていた。

「なぁに?メールが返ってこないの?」
「アドレス変えたみたいで送れないのー」
「あら。何かしたの?」

    なんとも微妙な質問である。セクハラしたりストーカーまがいの事をしたり手編みのマフラー(Leon loveと文字が編んである)をあげたりと、既にいろいろとしているのは知ってはいるのだが。
    しかし彼女はそんな事頭にも思い浮かばなかったのか、溜め息を一つ吐いてううん、と首を振る。

「なにもしてないよ、ただメールと電話しただけ」
「それだけ?」
「うん」

    ほら、と見せられた発信履歴をみて言葉を失った。
    画面に並ぶレオンレオンレオンレオンレオンレオン……3分おきに彼女は電話をかけていたのだ。

 「前は留守電ばっかりだったんだけど、最近いっつも話し中なんだよねー」

    あぁ、と何となく分かってしまいひきつった笑いを零す。

いつ電話しても話し中ってそれ着拒よ
(とは言えず。再び鬼の様に電話に耳を当てる彼女を見守った)
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