そーしゃるなねっとわーくに捧ぐ、僕の幸福 | ナノ

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 彼女からの返信はものすごく早くて、これこそ予め計画していたかのような錯覚さえ覚えさせられるようなものだった。リンクを貼り付け、友であると示した。このときから、お互いの日記にコメントしたりチャットをしてみたり、すこしずつ“絡み”というものをしていった。
彼女……みぃは、とても楽しい方だ、と感じた。みぃの文章は読む人間の心をつかみとるような何か不思議なものをもっていた。彼女とチャットしているときが、彼女の日記を読んでいるときが、何より一番楽しくて充実している、と。そう感じてしまった。感じてしまったんだ。今日も、昨日も、彼女とチャットで夜遅くまで話し続けた。――彼女は今年で21歳らしい。ちなみに俺は25歳だ、と伝えてみる。――彼女はいま彼氏なるものがいないらしい。これは言わなかったのだけれども俺にはいる、彼女。


 今日のチャットも終わり、寝ようと思ったのが深夜の3時。突然として耳という感覚器が敏感にも反応した、というのは机の上にある赤い携帯電話が初期設定のままの着信音をならしていたのであった。俺はそれを手に取り、通話ボタンを押す。すると聞き慣れた耳になじむような少しトーンの高めの声が聞こえてきた。
「あ、邦男ー?優花だよ。まだ起きてたんだね、寝てると思ってたー。」
三日ぶりくらいに聞く彼女の声に心が和んだ。
「どうした?こんな時間に。」
「あー、仕事が長引いてさ、終電逃しちゃってさ、しかもビジネスホテル全部ふさがっててさー、しかたがないからネットカフェ泊まろうと思ってたんだけど−、なんかさみしくって。」
 ずいぶんと踏んだり蹴ったりだな。と、いうのは声には出さず日常会話などで30分ほど時間をつぶした。

 電話を切り、

―――寝るか。

 布団のなかに潜り込み、今日一日を振り返る。久しぶりに優花と話ができたにもかかわらず、俺の頭の中を制覇していたのはみぃだった。けれど、それは、決して恋愛的感情ではない、というのも事実だった。




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