もしも夢主がゾルディック家に連れて行かれたら 〜執事服編〜




先日、第七章『奪い合いの攻防 5/5』をアップした時に、朔夜様より「最新話面白かったです」というお言葉とともに、「執事服似合いそうですね!見てみたいです!」という旨のコメントを頂きました。

このコメントがとっっっっても嬉しくて、気づいたらあれよあれよと「ゾル家×ミズキ×執事服」というテーマで、SSを書いておりましたので、こちらにアップいたします。


「もしも〜」というIF設定の話となっております。









皺一つないオーダーメイドのシャツに、同じくミズキの採寸にピッタリ合う燕尾服、そしてピカピカに磨かれた革靴。仕上げに、首元のクロスタイをゾルディック家の紋章の入ったピンで止めれば執事姿の完成だ。


「なぁ?オレ、遊びに来ただけだって言ったのよな?」
鏡の後ろに立つイルミに向かってミズキが問いかける。
「うん。似合ってる。」
イルミは聞いているのかいないのか一人うんうん頷いた後、後ろに控えている強面の男に向かって「ゴトー?」と声をかける。
「はい、イルミ様、なんでしょうか?」
「ミズキを執事室に連れてって使えるかどうか見てあげてよ。」
「ちょ、待てよ、イルミ!何でそんな話になってんだよ!」
その言葉を遮ってゴトーが言う。
「はい、畏まりました、イルミ様」


言いたいことだけ言ってドアに向かうイルミを追いかけようとミズキが手を伸ばす。しかし、威圧的なオーラを放つゴトーに仁王立ちされ、邪魔されてしまう。ゴゴゴゴと効果音が聞こえてきそうなその雰囲気に、ミズキは思わず身をすくめる。


「……あの……どいてくれません?」
「オレはお前を執事室に連れていくよう言いつかっている。それは出来ねぇ相談だ」
「いや、オレ、そんな話聞いてねぇし」
「聞いている聞いていないは大した問題ではない」
「いやいやいや、ちょっとイルミと話させてくれよ」
そう言った瞬間男から放たれるオーラがさらに増す。額に浮かんだ血管がピクピク動いている。
「……おい、てめぇ、『様』をつけろ『様』を。イルミ様を呼び捨てだなんてオレが許さねぇ……」
「ちょ……そんな怒んなって、悪かったって。イルミ『様』なイルミ『様』!ちょっ、イ、イルミ様?こっちに戻ってきて話きいてくれねぇ……くれません!?!?」


ゴトーの鋭い眼光に言い直すが、既に部屋を出て行ったイルミには、ミズキの声は届かなかった。イルミが部屋から去っていくのを確認すると、ゴトーは「さて……」と言ってミズキに向き合う。


「…お前が『あの』ミズキか。そうか。それなら執事室に連れていく前に一つやってもらう事がある」
「え?……なんだよ」

真剣なゴトーの表情に、ミズキは少し緊張した面持ちで言葉を返す。空気がピシリと張り詰める。



「『死んだふり』をしろ」



「…………………………えぇーーー!?!?!?」


突然の要求にミズキは目を白黒した。こいつどんだけ『死んだふり』にこだわりあるんだよ。つーか、初対面の人間に死んだふりを要求するってなんだよ!?死んだふりに恨みでもあんのかよ!?!?!?

突っ込みたい諸々の言葉が喉から出てこない。そんなミズキにゴトーは「早く」と目で催促する。どうしたらいいのかもう分からない。


「ちょ、なんでだよ、意味分かんねぇーよ!そんな突然言われてやる奴なんて、この世のどこにもいねぇーよ。な?な?」


そんな言葉はゴトーに通じない。むしろその言葉はゴトーの神経を逆なでした。ゴトーの額の血管がピクピクと動きを強める。もう逃げ場はない。


「な、なんでそこで怒るんだよ、意味わかんね……ってちょ、殺気向けんなって…な……え、ちょ、誰か……イルミ?イルミ様!?イルミ様ぁぁぁーーーー!!!!」


ミズキの叫び声もイルミには届かない。鶏を絞め殺したようなミズキの叫び声が室内に虚しく響き渡ったのだった。



終わり






こんな感じのIF話も面白いですよねぇ〜。
ゴトーに目の敵にされる夢主の話とか、ミルキと絡む話とか、毒の入った料理を味見させられる話とか、色んなパターンが書けそうですね!!妄想だけでも楽しいです!!!!


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