ジョゼフさんは冷たい(月下の紳士)
ジョゼフさんは冷たい。私がいくら話しかけようが、いつも素っ気なくあしらう。本来なら関わることをやめるべきなのかもしれないけど、私はそれがやめれなかった。なぜなら、私がジョゼフさんとどうしても仲良くなりたいからである。
そして、今日も私はジョゼフさんを見かけると、一目散に声をかけた。
「ジョゼフさん、こんにちは!」
「……」
今日のジョゼフさんは、いつものジョゼフさんではない。獣の耳に尻尾の生えた、とても可愛らしいかつ、カッコよくもある最強の衣装を着ていたのだ。初めて見るその格好に、とても目を奪われる。
「今日のジョゼフさん、とってもカッコイイですね!」
思わずそう言うも、ジョゼフさんは「フン」と素っ気ない。その対応に、これは声を掛けるなってことかな?と考えていると、ゆらゆらと動くものが目に入った。ふわふわなソレは、ピンと立ってブンブンと左右に揺れている……。これは、いや、そんなはずがない。そう考えるが、何度見ても何度確認してもソレはジョゼフさんの尻尾だった。
……え、これは、カッコイイって言われて喜んでる?喜んでるの?えっ……?こ、これがツンデレというやつなのか?
「おジョゼッ、ジョゼフさん……?」
「……何?僕に用あるわけ?ないんならどっか行ってよね。」
ジョゼフさんは冷たい目と口調で返事をする。尻尾をブンブンと振り回しながら。……うん、本人は気づいていないようだ。
ジョゼフさんは冷たい。私がいくら話しかけようが、いつも素っ気なくあしらう。そう思ってたけど……ただのツンデレだったようだ。
「何ニヤけてんの?」
「なんでもないです!」