しゃしんのちからってすげー!
「雪だ!」
「雪なの!」
荘園に降り注ぐ雪に、子供のように興奮する私。エマちゃんもはしゃいでいるようで、その姿はとても可愛い。……ピアソンさんから守らなければ。なんて決意しながら、その様子を見守る。
防寒着は身につけているが、それにしても寒い。でも、積もってる雪なんて見たのは久しぶりな気がするし……室内で過ごすのは勿体ないだろう。
「積もってるし、雪遊びできそうだね。」
そう言うと、エマちゃんの表情にさらに輝きが増した。やりたいやりたい、とはしゃぐエマちゃんは天使のようだ。
「雪だるま、作りたいの!」
「お、いいね!」
こうしてエマちゃんの案にのっかり、雪だるまを作ることにした。
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雪の降っていることに気づいたジョゼフは、写真を撮ろうと思い立ち、カメラを持って外へと出た。降り注ぐ雪の綺麗な写真を撮れたことに満足していると、ふと視界の端にあるものに気がつく。
「……私の、雪だるま?」
そこには、二つの雪だるまが並べられていた。そしてその片方が、自分の姿を模したものだったのだ。ジョゼフの髪型が忠実に再現され、服まで着せてあるそれは、彼の手のひらに収まるくらいの小さなもの。大きさ的にも、人柄的にも他のハンター達が自分の雪だるまを作るとは思えない。だとするとサバイバーが作ったのか、と考えたジョゼフはある人物が目に浮かんだ。それはナマエだ。彼女が作ったかどうかはわからないが、彼女が自分の雪だるまを作っている姿を思い浮かべると、ジョゼフはくすりと微笑む。
「あ。」
ふと、声がしてジョゼフがそちらを振り向くと、そこにはナマエが立っていた。
「ジ、ジョゼフさん…それは、その…!」
「やはりナマエが?」
「……はい。」
恥ずかしそうに頷く彼女が、とても愛おしく感じる。これが恋なのか、と年相応でないことを改めて実感させられたジョゼフであった。
「ふふ、嬉しいよ。ありがとう。」
「実は、自分で結構うまくできたと思ってます。まぁ、時間が経ったら溶けちゃいますけどね。」
そう笑う彼女に、ジョゼフはあることを思いつく。
「これ、貰ってもいいかい?」
「?もちろん!」
寧ろ貰ってください、というナマエにジョゼフは「ありがとう」と言いながら頭を優しく撫でた。すると、ぽぽぽっと顔が赤くなる彼女に更に愛おしさが込み上げるのだった。
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ジョゼフさんに雪だるまをあげたはいいけど、きっともう溶けちゃっているだろうな。と、雪の止んだ空を見ながら思う。
すると、ゲームから帰ってきたナワーブが「今日のハンター、写真家だった……」と悲しそうに言っていた。様子からして、負けてしまったのだろう。まぁナワーブくんはジョゼフさん相手にはキツイよね…。
「元気出して!写真家への対策でも一緒に考えよう?」
そう言うと、ナワーブくんは「ありがとな、ナマエ」とニカリと笑った。
「そういえば今日の写真家、雪だるま身につけてたけどどうなってるんだろうな、あれ。溶けないのかな。」
「え、雪だるま……!?」
ナワーブくんの言葉に、思わず目を見開く。ジョゼフさん、それもしかして私の作った雪だるま…!?なんでまだ溶けてないのかとか疑問に思うところはあるけれど、それよりも私の作ったものを身につけているということに照れくさくなって、今すぐジョゼフさんに会いたくもなった。
「なんか顔ちょっと赤いぞ、どうしたんだ…?」
「なんでもない!」