horrorにトリップする



※AUのhorrortale要素があります。



「サンズ……あのね、話したいことがあるんだけど。」

今日は、当たって砕けろ!と言うことでサンズに告白しようと思う。今まで隠してきたけど、やっぱり言わないと何も変わらない、ということに気がついたからだ。

「なんだ?」

私の気持ちを知らないであろうサンズは、読んでいた本を閉じてこちらを向いた。サンズの視線に、顔に熱がこもる。汗が滲み出る手をぎゅっと握りしめて、私は口を開いた。








急に視界がブラックアウトし、不意に寒さが全身を襲って来た。気がつくと、私はsnowdinに立っていたのだ。……え?なぜ?サンズのイタズラかな、と思ったが、サンズの姿が見当たらない。おかしい。だって私は地上にいたはずなのに、いきなり地下に来るだなんてありえない。
周りをキョロキョロと見渡すと、左側にパピルスが見えた。パピルスも私のように、ここに飛ばされて来たのだろうか?だってパピルスは、フリスクと遊びに行っていたはずだし。

「パピルスー!」

と、名前を呼びながら近寄って行こうとした……のだが……パピルスの、見た目がおかしいことに気がついた。歪な歯並びで、歯には血のようなものが付着しており、赤くなっている。血、じゃないよね。彼に限ってそんなこと、ありえない。見間違いだと思ったが、何度目を擦ってもパピルスはいつものパピルスではなかった。
怖くなってきて、私はパピルスに気づかれる前に、逃げるように道を真っ直ぐに進んだ。カカカカッという謎の音が近づくにつれ、見張り小屋が見えてくる。その見張り小屋には誰かが座っているようだ。あ、あのシルエットはサンズだ!!

「もうサンズ、どこ行ってたの!」

と、言いながら走って近づいて行く、が、サンズもおかしいことに気がついた。

「よう、誰だ?」

と、私に向かって言ったサンズの頭は、カチ割られたように穴が空いている。そして左目が赤くなっており、服にも血がベトリとついていた。

「え、サンズ……じゃない、の?頭、大丈夫?」

一歩下がりながらそう聞くと、

「その言い方だと、俺が頭おかしいみたいになるだろ。……お前、どうして俺の名前知ってるんだ?」

と言われた。困惑している私をよそに、目の前のサンズは喋り続ける。

「なぁ、このナイスでスパイシーなホットドッグ食わねぇか?」
「いらない……」
「おいおい、タダで完璧なホットドッグを作るのは大変なんだぜ?」
「そんなの知らないよ、私の知ってるサンズじゃないから食べない!知らない人から食べ物貰ったらダメだって、サンズが前に言ってたし!」

サンズのホットドッグはよく食べてるし、今食べたいとも思わない。目の前のサンズが恐ろしいことを考えている気がして睨み付けると、私の知ってるサンズと同じ笑い方をした。

「とりあえず、こっちに来いよ。ここのこと教えてやる」

こっち、というのは見張り小屋の前のことだろう。正直、こんな知らないところに飛ばされた私は、ここのことが知りたくてたまらない。だから、

「ちゃんと教えてよ……?」

と、言いながら、サンズに恐る恐る近づいた。

「……来たか」
「うん。だからおしっ……!?」

"だから教えて"と言おうとしたのだが、それは叶わなかった。目の前のサンズに急に引っ張られ、見張り小屋の机に押し付けられる。ホットドッグが、地面にぼとりと落ちる音が聞こえた。腕を掴まれている為、動けない。いきなりのことにビックリして声も出せない私を、目の前のサンズは口角を釣り上げて見下ろしてくる。

「簡単に引っかかるなんてな……へへ……お前、美味そうだな?」

美 味 そ う
その意味を理解する前に、頬をベロリと舐められた。ねとりとした舌が頬を伝う感覚に、思わずビクリと反応してしまう。

「や、やめて……!」

もう、なんでサンズと同じ見た目してんの……!!思わず顔が熱くなる自分に嫌気がさす。そんな私を見て、目の前のサンズは、

「へへ……照れてんのか?さては"私の知ってるサンズ"とやらに惚れてんのか?ん?」

と言ってきた。図星をつかれ、更に顔が熱くなる。睨み付けるも、サンズはとても愉快そうだ。そして、私の首元を服を引っ張り、首筋をさらけ出された。何をされるのか、と怯えていると、サンズは私の首筋にがぷりとかぶり付く。

「いっ……!?」

ズキズキと襲ってくる痛みに、顔をしかめる。そんな私を気にかけることなく、サンズは噛み付いた傷跡を念入りに舐めてきた。首筋にねとりと舌が這う感触とともに更に痛みが襲ってきて、目元が熱くなる。ようやくサンズが顔を上げて、私の顔を見てきた。
サンズの顔をたらりと流れる汗が、妙に色っぽく見える。

「お前、やっぱり美味いな。……涙目になってんのか?そんな目で睨みつけても迫力ねぇぞ」
「早く離して……!」

もうやだ、早く帰りたい。目の前のサンズは怖いし、もしかしたらこのままここから帰れないかもと思うと、涙がぽろぽろと零れ落ちる。サンズはその涙を「勿体ないな」と言いながら舐めてきた。顔がベタベタする!

「お前がこっちの世界にいたら、何かが変わってたかもしれないのに……」

と、サンズはよくわからないことをボソリと呟くと、サンズは再び私の首元に顔を埋め、首筋に歯を立てた。








がぷり。痛みが襲ってきて目をぎゅっと瞑る。が、押し付けられている感触と腕を掴まれている感触がもうない。不思議に思い目を開けると、目の前には頭の割れていない、いつものサンズがいた。

「さ、サンズ……!!」
「……どうしたんだ?俺に話があるんじゃなかったのか?」

私の様子がおかしいことに気がついたサンズは、優しく頭を撫でてくれた。サンズの優しさに安心して、思わず再び涙がぽろぽろと溢れる。

「何があったんだ?」
「……ううん、なんでもないの。サンズ、ありがとう。話はまた今度するね」

さっきあったことをサンズに話しても、信じてもらえるかわからないし……というかあれは現実だったのだろうか?いや、きっと幻覚とか夢とかそういう類だろう。なぜかまだ、首筋に少し痛みを感じるせいで、もう告白する気にもなれなかった。
涙を服の裾でふき、サンズに「もう大丈夫!」と笑顔を見せる。すると、サンズの視線が私の首に向けられていることに気がついた。

「どうしたの?」

と、聞くと、サンズは私の首筋に人差し指をとん、と当てた。

「……ナマエ、これ、誰にやられた?」

そう聞いてきたサンズの顔は、心なしか怖かった。首筋?え?さっき噛まれたところ……?恐る恐る触ってみると、ピリッと痛みが襲ってきた。嘘でしょ……と思いながら顔を触ってみると、少ししっとりとしている。……あのサンズに舐められたから?え、嘘でしょ。どうやら、夢じゃなかった、らしい。
混乱するも、とにかくサンズに誤解されたくない。だってこんなの……えっちの時に歯型つけられました、みたいな感じじゃん。

「違うの……これは……えーとね……」

でも、なんて説明したらいいのかわからない。だって、サンズじゃないサンズにやられましたとか言われても、は?ってなると思うし。
なんて言おうか考えていると、サンズにぼすんとソファに押し倒された。

「……え?」
「誰に、やられたんだ?」

本物のサンズが、私を、押し倒している…?そう理解した瞬間、顔が一気に熱くなった。

「……そういう反応されると、勘違いしそうになるな」

そう言いながら、サンズは首筋の傷を人指し指で撫でてきた。ピリッと痛みを感じるが、それと同時にゾクゾクという感覚が襲ってくる。
何、この状況は。勘違いって、つまりそういうことだよね……?……今、言うしかない。そう思って、私は再び勇気を振り絞ることにした。







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