だらだら両片想い



「暇だねえ……」
「そうだな……」

私は今、暇人仲間のサンズの部屋にいる。サンズと二人でベッドに仰向けで寝転んで、だらだらと過ごしているのだ。
何かしたいんだけど何がしたいかわからない、何もすることがない……そういう時はよくサンズの元へ訪れる。サンズも大体暇なので丁度いいのだ。

「んーー眠くなってきた……」
「寝ていいぜ?」
「じゃあお言葉に甘えて昼寝します!おやすみ!」
「おやすみ」

こんなこと本人には言わないが、サンズといるとすごく落ち着く。ベッドに寝転んでいたら眠くなるのも当然だろう。サンズの言葉に甘えて、私は少し昼寝することにした。





「参ったな……」

ナマエが寝てしまった。それを許したのはサンズだが、男として見られていないのかという複雑な気持ちになる。いや、まだそれだけならいいのだが、スヤスヤと寝息を立てているナマエに抱き枕のように抱きつかれているこの状況が一番サンズにはキツイ。
スケルトンにはない柔らかさが感じられ、しかも相手が好きな女となると、ベッドと上ということもあり色々な点でつらかった。ショートカットでも使ってしまおうか、と思ったが、それはそれで嫌なのだ。何が嫌かって、もちろんナマエと離れるのが、だ。サンズは、ナマエと触れ合っていたいのだと実感せざる終えなかった。
……ナマエの匂いがする。顔もこんなに近いのに、唇に触れることは無い。
指で触るくらいならいいだろうか。そう思い、ナマエの唇を親指でそっとなぞってみた。

「……柔らかい。」

柔らかい。キスしたい、唇ないけど。ナマエ、寝顔可愛いな、なんてサンズが思っていることを知らずに幸せそうに眠るナマエに、サンズは思わず微笑んだ。

「……オレも寝るか。」

起こさないよう、そっと優しくナマエを抱きしめ返し、サンズも寝ることにした。






「どうしよう……」

いつのまにか抱きしめてしまっていたサンズに抱きしめられているこの状況に、私は頬を赤らめるしかなかった。
目が覚めたらこれだ。頬が熱い。心臓に悪い。ソウル弾け飛びそう。バクバクと音を立てる心臓をなんとか落ち着かせようと試みるが、サンズに抱きしめられている感覚が邪魔をする。
……サンズのことを暇人仲間なんて言っていたが、実は好きな人でもあるのだ。あ、間違えた。好きな骨だ。ついでに言うと暇人ではなく暇骨だった。
好きな骨とベッドでゴロゴロできるなんて幸せだなぁ、なんていつも思っていたのに、抱きしめられるなんて幸せすぎて困る。しかも寝ている間にサンズを抱きしめてしまっていたなんて、全く気づかなかったしどう思われたかが心配だ。
……サンズの匂いがする。サンズの寝顔、超可愛い。顔もこんなに近い。もう少し近づいてしまえば、キスできる距離だ。……そう思えば思うほど、顔に熱がこもる。
キス、かぁ。
サンズとのキスを想像しながら寝顔を見つめていると、ゆっくりとサンズの目が開いてしまった。……そして、目が合う。

「……」
「……」
「……サンズ、おはよう……」
「……おはよう、ナマエ」

……やばい、抱きしめたままだ。少し気まずい雰囲気が流れる。
どうしようか。顔が赤いのはバレていないだろうか。好きって、バレていないだろうか。

「……あー、そういえばポテチあるんだけど、食うか?」
「た、食べる!」
「オイラの食べかけだけどな」

サンズはそう言うと、私から腕を離し起き上がった。私もつられて起き上がり、ベッドに腰掛ける。先程の気まずさは、サンズのおかげでなくなった。……たぶん、私の気持ちはバレてないはず!大丈夫だ!
ポテチの袋を持ってきたサンズが隣に座ってきた。肩と肩が触れ合いそうな距離だ。さっきまで抱きしめ合っていたくせに、肩が触れそうなだけで照れてしまう私は男慣れしていなさすぎなのだろうか。

「はい」

と、サンズがポテチの袋を私に向けてきた。うん、とりあえずポテチを食べて落ち着こう。そう思い、袋の中に手を突っ込んだ。

「って、ポテチ空じゃん!!」







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