キミのいない世界におはよう
これの続きです。
眠っている時、よく日向クンが夢に出てきた。
最初のころ、まだボクを信用してくれていたころの日向クン、学級裁判の時の日向クン、ボクを信用してくれなくなった日向クン。夢の内容は色々あった。
買い物したり一緒に遊んでる、まるでボクと日向クンが友達みたいな夢のような夢とか、日向クンがボクを無視する夢とかね。
何故だか3人一緒に出てくることもあって、おもしろかったなあ。
最初はなんで日向クンなんだって嫌悪感を感じた。出てきても欲しくないのに、勝手にボクの夢に入りこんでくるんだ。別に日向クンじゃなきゃだれでもいいってわけでもないけど。
でももう慣れてしまったんだ。
逆に日向クンが夢に出てこないとツマラナイ。
色んな日向クンが出てきて飽きないよ、ほんとに。
態度が全然違う日向クン達だけど、最後に言う事だけはいつも一緒だったんだ。
お前に会いたい、って。
ボクの事を嫌いな日向クンでさえもだよ。
もう今ここで会ってるじゃない、何言ってるの、っていうと、そうだなって、少し悲しそうな顔をされた。
この悲しそうな顔の真相がつかめなくて、日向クンの心情が知りたくて、何度も夢の続きを望んだよ。
でもまたボクは深い眠りにつくんだ。
今ボクがこうして生きている世界はなんなんだろう。ただの夢の世界にすぎないのか。
そんな事も考えたいんだけど、どうやらボクの頭は全く働かないみたいなんだ。
ずっと長い間眠り続けているみたいだからかな。ボクにとっては一日中寝ちゃったみたいな休日くらいの気分なんだけどさ、あは、例えが分かりづらいかな。。
一日中寝てしまった気分の割には、夢は何度も見た。
でも同じような夢が殆どなんだ。
死んだ犬の夢、さっき言ったみたいなキミの夢。
あとは幼いころのボクの夢もあったかな。
それらがシャッフルで無限ループしているような、そんな感じ。
あまりにも夢を見ていると現実との境目がつかなくなってくるよね。
僕は今どこにいるのか、生きているのか死んでいるのか。夢によって状況が色々変わるから目がまわる思いだったよ。
それでね、最後に見た夢でもまた日向クンが出てきたんだ。
何にもない空間、真っ白な背景。
ボクは立っているのか、寝ているのか、浮いているのか、それすら分からない世界のようだ。声も出ない。
夢の中のボクはこれが夢であることを知らないから、
あ、ボクもうしんだのかなって思った。
そうしたらキミが出てきた。
自分の手もぼやけて見えるのに日向クンだけが鮮明なんだ。
いつまでも夢ばっか見てないで現実を見ろ!って怒られた。
なんかよく分からないことも言われながらだったからぼーっとしてたんだけどさ、そしたら日向クンがボクの唇に日向クンの唇を少し重ねた後言ったんだよね。
こまえだ、たしかに俺は、お前が好きだった
てさ。
そしてキミは空間から瞬間移動のように消えてしまった。
いや、消え方はゆっくりだったかな。
砂がこぼれていくようにゆったりと消えていった。
覚えていないけどそんな感じだったんだ。
ああ、これが夢なら早く覚めなきゃ。
こんな夢のまた夢の夢にまで犯されていくボクの脳を止めてくれ。
あまりにも衝撃的だったんだ。
すきって言われたらボクもきっとそうだったんだってやっと自覚してさ、恥ずかしいことこの上ないよ。
ああ、キミに早く会いたい。
今まで気付かなかったのが馬鹿みたいで、ボクがどんな状態かもわからないのに、笑いたくなった。
起きろ、狛枝凪斗。

起きた。
起きる事が出来た。
ボクは自分で指示をしさえすれば起きることができるほどに意識が冴えわたっていたんだ。
なんだ、こんなことならもっと早く起きればよかったよ。
日向クンに気持ちを伝えたかったんだ。
ボクも確かに好きだったって。




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