ピロン、とどこかで電子めいた音がした。
握っていたボクの手にアイ色のカケラがはいってた。
「ねえ、」
「なんだ」
「キミのカケラ、すっごく綺麗だよ」
透き通ったアイ色の希望。
太陽に透かせば太陽まで透き通ってしまうような。
温かくも冷たくもない不思議な温度。
他の人のカケラも一通り持っているけど、気のせいかキミのカケラが一番綺麗に見えた。
「そうか」
舐めてみたくなった。
どんな味なのか、確かめたくなった。
オレンジのような爽やかな味がするのだろう。飴のようにとけていくのかな、それともいつまでも口の中で残るのかな。触感は?歯でがりがりと壊せるのだろうか、意外と柔らかいのか。気になるな。
でもキミの希望をボクが舐めたりなんかしたらボクという毒にさらされて酷く醜い色になるに違いない。だからやめた。
「あれ、狛枝のカケラ俺にこないぞ?」
キミは手のひらをじっと見つめ、首をかしげた。
普通カケラというのは仲良くなった時、両者にそれぞれ与えられる。でも見たところキミの手にはないようだった。
「…ごめん、ボクにはそんなものないのかもしれない」
少なくともキミのような、美しいものは。
きっとボクのカケラはどろどろで、ボクの心臓にぐさりぐさりと刺されたままで抜けないんだ。味も最悪なんだろう。きっと鉄のような味がするはずだ。
「またお前は…誰にだってカケラはあるんだろ」
キミは甘い。ボクのような醜い者がいることをまだ知らない。
常識にとらわれたままなんだよ。
「…ふふ、じゃあボクのカケラは目に見えないんだよ!!」
ボクは思ったことと違う事をあえて言った。
だってキミはああいうこと言うと、とっても傷付いた顔するんだ。
キミを傷付けているわけじゃないのにさ、
きっと優しいからだよね。
これがボクの学んだこと。
「そうか、じゃあ狛枝のカケラもとっても綺麗なんだな。透明度100%なんだよ」
ほら、またそういう。
狛枝は未だ心を許せていない