2014/06/08 15:50

完全に私生活の事についてですが部活を今さら始め多忙です
反半端な時期に始めるあたり半端な人間性垣間見えてる
ネットやるくらいの暇はあるのでこれまで通り更新を続けていきたいです〜
つづきにこまひなSSS



「だーれだっ」
突然俺の視界が真っ暗になった。
一瞬動揺するが、誰かが俺の目を手で隠しているのだと気付く。
小学校のころの定番いたずらと言っても過言はないだろう。
が、あいにく今は仕事中だ。
俺だけではない、相手もである。
今この手が塞がっていなかったら、目隠しをすぐに払いのけ、一発お見舞いしてあげたいところだ。
手が塞がっていることに実に感謝してほしい。
「今忙しいんだ、後でな」
俺が歩きだそうと一歩を踏み出すと、その声の持ち主も同じように一歩を踏み出した。
「じゃあせめて答えてからにしてよ」
構わず歩き続けるが、相手も構わずついてくる。
視界が奪われているというのはなんと不便なものか。
十数歩歩いただけなのに、もう自分がどこにいるのか、どの方向なのか分からない。
障害物が少ない場所で本当によかった。
「俺は声を出しているやつと手で塞いでるやつ、どっちを当てればいいんだ」
「自分が思った方でいいと思うよ?本当に2人いるかなんてそれは日向クンの勝手な想像なんだし」
微笑んでいる相手の顔が容易に想像できた。
両手に持っている書類を床に置いた。
そのまま落とすとばさり、と書類が崩れるので、できるだけ膝を曲げないようにかがんで、丁寧に置く。
目を塞いでいるものに手をかける。
ぐっと力を入れて握ってやると、
「いでっ」
と小さく聞こえた。
「これで満足か?狛枝」
相手の方へ顔を振り返ると、俺のさっき想像した通りの微笑んだ顔だった。
そのまま横を向く。
「案外ばれるものだね」
狛枝の横にいた苗木が困ったように笑った。
「声が下のほうから聞こえてきたしな」
遠まわしに身長の事をいうと、苗木はちょっとショックを受けたようだった。
「ごめんね苗木クン、変なことに付き合わせちゃって」
「ううん、ボクも面白そうだなって思ったからやったんだしいいんだよ?」
やはり声はどうしても似ている。
意識しないで聞くとたまにどっちなのかわからなくなりそうだ。
あくまでそれは他人の話、俺は別に二人の声分けくらいは簡単に判別がつく。
「ていうか手の感じで最初から狛枝だってわかったよ」
苗木の手はもう少し小さいし、狛枝の手のほうがごつごつしてて、何より手が触れるときがあんなにあるんだから、それくらいは覚える。
「手で分かる人ってそうあんまりいないよね。ボクのことそんなに好きなんだね!」
「はいーじゃあ仕事終わってからな」
半ば強引に話を切ると、床に置いていた書類を持ち、ちょっと急ぎ目に早足で歩き始めた。
「あっ、日向クン書類落ちたよ!」
苗木の慌てた声が聞こえたが、そのまま歩き続けた。
こんな顔、誰にも見せられないからな。



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