【メモ】鬼の葬列


…ある男の話だ。

武家であったその男の家には、女子が3人産まれはしたが、嫡子になるべき男子が産まれなかった。

当主は城に仕えていると言っても、禄など高がしれている貧乏侍。このまま世継ぎが出来なければ御家断絶になるのは必至だったろう。
奥方は大層気に病み、何とか男の子が授かるようにと手をやったそうだが、古い為来りに捕らわれていた当主は、女腹に期待など出来ないと言って一番上の娘に夫をとらせた。
そしてその婿養子を次期家長に置くことによって御家の危機を免れようとしたんだ。

全くどこにでもありそうな、つまらん話だろう。
だが跡取りも迎え入れ、家もこれで安泰だろうと当主が胸を撫で下ろした、その後だ。

その数ヶ月後…奥方がどうやら子を孕んでいるらしいという事が分かった。
男の子だった。

漸く授かった男子だったが予想外の誕生は待望とは懸け離れていた。
そりゃそうだ、もう養嗣子をとった後だからな。本来なら産まれるはずのなかった息子に一度渡った相続権が与えられる事はなく、そして見栄を張って良家から迎え入れた婿養子に遠慮し、両親がその息子につけた名前が

「文次郎、だ」

長男であって嫡子ではない子供。
潮江の家に於いて、俺はあくまで"次男"だった。

知っているか?武家の次男ってのは兎に角嫌がられる。飯を食らうだけの、それこそ穀潰しだからな、つまり家にとっての厄介者だ。
他の姉達は年頃になれば家の為にと嫁に行くだろう。だが俺は養子に出るか婿に行くかしないかぎり一生を家の世話になるしかない。
理不尽だろう、望まれて産まれた訳ではない弟をだぞ。
そんな事は絶対に御免だった。

6つの時だったか、姉上と義兄上との間に男子が産まれ、とうとう自分の存在が邪魔になるだろうと感じた俺は、漸く家を出る決意をした。
独りで生きていけるなら道なんて何でも良かったが、ただここは出身など問われない。体裁を重んじる武士の出だろうと関係なく要、不要は己の出来次第だ。

俺は思った、忍になれば自立できる。
家に迷惑をかける事もなく、無駄な扶持をかけさせる事もなく、自責に暮れる母上の気を病ませる事もなく…

「勝手に死ねるだろうと思ってここに来た。忍術学園に入学出来る年齢になるまでの4年間と、卒業するまでの6年間…合わせて10年間だけ世話にならせて欲しいと頭を下げて、今俺はここにいる」
「…何が言いたい」

分かるか、食満。

「俺は忍にならなければならない、脱落など許されない。その為だけに、今までやってきた」




…こんな感じの文章つくろうとしたけど、やっぱダメだったのでプロット(?)だけでも

昔から"欲しい物"があるんだけれど"それ"が何なのかが分からなくて、でも「自分はいらない子だ」と思ってるせいで"それ"を手に入れる価値とか資格はないんだろうな、とは薄々思っており
大きくなって一人で生きていく為に忍びの道に異常に執着するようになってからは、今度は三禁に縛られてしまって"それ"を向ける&向けられる事に恐怖を感じるようになってしまう
しかし前からもしかして、と思っていた食満先輩の想いにとうとう気付いてしまい、
自分の忍としての道を阻む邪魔者になるかもしれない食満先輩を殺そうとする怖がりな潮江先輩の話(の予定だった)

…でも最終的には先輩に「いらない子だなんてそんな訳あるか馬鹿!!」って言ってギュッてされた後に、自分が欲しくても手に入れる事を躊躇してた"それ"を先輩に貰って、しかも同じ物を自分も先輩に向けてた事を自覚して何やかんやでハッピーエンドに終わる

潮江先輩があんなにギンギンに忍者してるのには何か理由があるんでない?&武家出身だったら私が滾ると妄想した結果
俺得俺得!




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