【メモ】百年の離愁 千年の孤独I

…嘘、やっぱ後半グダグダしてます
主に食満先輩のせいです←



自分の力を返せと言ってくる刑部、でも二人とも何のことだか分からない
そこへ刑部の腕が、影が、ゆっくり平太へと伸びていく
自分の名前を呼ぶ先輩の声にハッとした平太は、勇気を振り絞って持ってきた刀を鞘から引き抜いた
しかし…
「竹光…?」
なんとその刀身は竹、もとい木で出来ていた
勿論効果ゼロ、振り下ろそうとした刀は片腕で弾かれてしまう。高らかな嘲笑が聞こえた
「おいで、下坂部平太」
そして刑部が唱えるように名を言うと、途端に平太の体は動かなくなってしまった
何か見えない紐の様なもので縛られた様な感覚だ
食満先輩は平太を助ける為に立ち上がろうとするも、力の抜けきった体は言うことを聞いてくれない
先輩の叫び虚しく平太は刑部に連れ去られてしまった
先輩も、体を維持する妖力もままならず、だんだんその意識は遠のいていった…



夢を見た
何だかとても懐かしく、穏やかな夢だった
白黒の世界で自分は誰かに笑いかけていた
「   」
誰かの名前を呼ぶ
するとその誰かも、自分に微笑み返してくれた様だった
懐かしい夢だと思った
あれは…



先輩はふと目を覚ました、辺りは暗いがそれ程時間がたった様には思えない
立ち上がり、呆気なく落とされた刀のもとに向かうと、先輩はそれを鞘にしまい腰に差す。
その目は自分への叱責で酷く歪んでいた

と、その時何かがフワリと香った
この香りは…先輩が平太に渡した御守りの物だ

大切な約束を違えない為の御守りと先輩は言ったが、本当は自分がそうであるとしているだけで、なんのご加護もない普通の匂い袋である
ただ再びこの世に目覚めたときに、唯一自分が持っていた物だった、その不思議な香りを、自分は確かに"懐かしい"と感じたのだ
ならばそうなのだろう
自分が持つとは思えない匂い袋は、恐らく"懐かしい誰か"が自分にくれた物なのではないだろうか
そしてすっぽりと抜けた記憶の中で一つだけその存在を強く主張するもの
「四国を守る」と言う、誓い
この約束を守らなければならないと、本能に誓い部分が先輩に訴えかけていた
それがこの世に残っている理由なのだとすれば…
そうして先輩は願をかけた「大切な約束を違えませんように」
その願いによって匂い袋は先輩にとって絶対の御守りに変わったのだった

あの夢で見たのは、その匂い袋をくれた誰かなのかもしれない。今まで一度として見たことは無かったのに…
ただその笑顔に、先輩は確信に近いものを感じていた
「…違える訳には、いかない」
平太を、助けにいかなければ



しかし平太が何処に連れ去られたのかが分からない。それに御守りを回収しないと
辺りを見回しても目立つはずの朱い布地は見つからない、なのに香りはしているのだ。何故?
その理由はすぐに分かった
御守りは案外近くに落ちていた。この香りには覚えがある、しかし先輩は違和感を覚えた

それは夜に溶け込むその色
朱色のはずの御守りは何故か深い藍の色をしていた
「俺のじゃ、ない?」
近くに寄せて、すんっと嗅いでみる…すると、また違和感
(違うんじゃない…何かが足りてないんだ)
懐かしいと感じる香りには、何かが決定的に欠けていた
何か、とは?

「   」

頭の中で、誰かの名前が響いている
色違いの御守りの持ち主
その笑顔、気配、そして彼の…



「……もん じ ろう?」


『やれやれ、やっと思い出したか』
どこかで仙の声が聞こえた気がしたが、それには構わず先輩は駆け出した。急がなければならない
平太の元へ
そして自分を待っているだろう、アイツの所へ



匂いで忘れてた記憶を思い出すって結構あるみたいですね、今回はそんなお話
さて、残すところ後数回な訳ですが
ぶっちゃけこの先の展開にどん詰まっております!←
なんでいつもは次のネタを書き終わってからこれをアップするのですが、だいぶ間が空きそうなんで先に載せちゃいます

さて、文次郎をどうやって倒させるかな…





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