-March-




やっぱり俺っちと王サマはなにもない。

夕日の教室で、「もうすぐ一年になるんだな」っつったら、王サマは泣きそうな顔をした。どうやら嬉しかったらしい。(俺っちからそんな話聞くと思わなかったっつってた)

抱き締められてカーテンにくるまれて、耳元で「これから抱きたい」って言われた。学校で?って聞いたら、違う、茶化すなって珍しくマジに怒られた。
今日の俺っちはパンツが最悪(母ちゃんがCOOPで買ったブリーフ)だけど、王サマはそれでもいいらしい。教室出るとき、廊下で会った蝉玉はニヤニヤしてたさ…けっ!嫌な女さ…。


ああ、王サマの家まで長かった。
春一番で生ぬるく冷えた身体が、王サマの手で熱くなる。ベッドに上がって、二人で服脱いで「せーの」で振り返ったら、二人共隠せないぐらいでかくなってたから、ちょっと恥ずかしさがましになったかも。俺っちだけじゃなかったんか。笑っちまったさ。けど、ドキドキする。

王サマの手は丁寧で、急に鼻の奥が痛くなったりして、その日の俺っちはおかしかった。

心臓が100Mダッシュよりハーフマラソンより死にそうに速くって、早くいつものキスで落ち着きたかった。
はぁ…王サマはそれがわかったみたいで、何度も「ちゅう」をくれる。うん、そーゆートコ、やっぱ好きみてぇさ。

なのに、まさかと思うっしょ!?
仰向けにひっくり返されてケツの穴触られて、思わず身体が逃げちまう。──詐偽!詐偽!王サマ詐欺師だったんかい!聞いてねぇさケツ使うなんて!

抵抗する俺っちに、突然「もう我慢出来ねぇ!」ってごり押しする王サマ。「優しくするから入れさせて」って。
顔面蒼白で身悶える俺っちの膝や太ももが、ゼンギに奮闘する王サマのそこを擦ってたらしくて、これもまさかと思うっしょ…。
擦れて我慢出来なくて、未然に俺っちの膝に出しちまった王サマは、もう今にもマジ泣きしちまいそうに青くなってた。

その顔がなんだか可愛く思えちまって、つい、「もっかいしていいさ。ほんとは、俺っちも王サマとセックスしたい」って言っちまった。王サマの背中を抱き締めて、大人な言葉を使ったと思う。
俺っちがいつ大人になったのか聞かれたら、きっと今だって答えるさ。
それぐらい恥ずかしくて、誇らしくて、消えそうなベッドの上で、まさかと思ったけど血が降った。
はぁ?

鼻血と勃起で血を使い果たした王サマにアイスノンのっけてやったのは、その日。
伸びている王サマも可愛く思えちまって、顔を撫でる。
へろへろな声で「気持ちよかったか?」なんて聞きながらキスする癖に、抱き締めた腕は埃と太陽と汗の臭いがした。

へへ、……なんか、今日はいろんな王サマ独り占めにしちまったさ。くすぐってぇ。
やられっぱなしも癪だから、王サマの背中を撫でるのは、俺っちの役目さ。王サマがさっきしたみたいに、王サマの背中にマークを吸い付けて、俺っちは眠ったみたいだった。
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