「バレンタインは、チョコじゃなくて天化が欲しい。」
向かい合わせに座ったスタバでそう言われて、食い気味に返事しちまったら王サマが笑ってた。ちくしょう!あ、そういやインフルエンザ全快。
最近は「バイバイのキス」が、チューだけで終わんねぇから困ってるさ。(つーか、「バイバイのキス」じゃあ女が言うみたいにダサくて嫌な名前さ)
ぴったり腹をくっつけてキスしてると、真っ暗な交差点でキスが止まんなくなる。映画とかで首をぐにゃぐにゃ動かす「激しいキス」をしてっけど、俺っちと王サマもあんな感じで、いろんな角度でするようになった。舌で触ったりもする。
恥ずかしいのに、頭がぼーっとなって、王サマのことでいっぱいになって、王サマの匂いも味もして、俺っちはあれがすごく好きさ。
約束してたバレンタインは、補習ゼミで視聴覚室に缶詰にされた。んなまさか。
俺っちの一斉一代の晴れ舞台パンツ(黒のボクサーにシルバーのワンポイント泊)は、勝手に親父が洗濯機で回しちまって、天祥が頭に被ってた。もう家なんて帰らないかんね!バカ親父!
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