クリスマスは空けとけって王サマに言われたけど、俺っちは毎年家族で寿司とチキンとケーキを食う日さ!
王サマはまた怒ってたけど、最後の方少し笑ってた(ちなみに電話。ようやく番号入れたから)
寒い街を二人で歩く日が増えて、コートの下で手を繋ぐ。王サマは指が冷えやすいらしくて、俺っちのあったけぇ指が好きだって言ってた。
夜は家族と寿司。昼間は王サマと街。
別れ際に、まっすぐ目を見て「聖夜に天化が欲しい」って言われて、俺っちの時間は止まった。耳が寒さでイカれたんかと思ったさ。きっと、王サマの目がすっげー好きなんだ。
王サマが最近そーゆーコトを言わなかったのは、それでなんだろうかとか、今すぐ頷いて歩き出したいとか、頭の中がぐちゃぐちゃ汚いまま、迎えに来た親父の軽トラに拉致られちまった。
王サマは、真っ赤になって震えていた。
身体の芯が、木枯らしの中のツリーみたいに頼りなくって切なかった。
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