青と一年、僕らの事情 -July-
多分手を繋ぐんだと思う。
そんな時期ってのがくるモンなんだと王サマが言ってたさ。
颯爽と現れたこのそわそわは、きっとそれだった。
校外学習の斑分けも同じ２斑で(クラス王サマ権力健在)、同じ実習用紙持って半日郊外のファームに出た。
王サマが羊の餌運びを途中で投げ出したのはお約束なんだけど、スプリンクラーの水を頭から二人で浴びちまったの！あれはすっげー楽しかったさ！
暑い日だったから初夏には気持ちいい。Ｙシャツもズボンもビッタビタでバカ笑いして、もう一回餌の入った手押し車を押したとき、手がぶつかって息が止まった。
多分、それは王サマもで、「ごめんな」って笑いながら、指が強く絡められた。
……謝ることなんてねーのに。リヤカーの取っ手と指と指が熱くて、被った水が遠い昔のことみたいだった。
夕暮れのファームのでっけぇ夕日は、王サマを照らしてるみてぇ。マンゴーソルベ、今度王サマと食いに行こう。
