赤い陽が射す街並みを
いつも誰より気にしてた。
薄紅の女を追い掛ける
えらく軟弱なその人が
王って言われて信じるモンかね?


勝てない闘いなん許せないまま
聞き分けられねぇ
下らない自負を引っ提げて、
稽古に向かう俺っちの背を
焦がしたのが誰だったか


さよならの言葉は
死んでも言ってはやらなくて
澄んだ目が濁る気配が
背を送るあーたの最後の記憶だったっけ。
そんな人だから


誰より胸にひっかかる
血の臭いは知られたくない。
つまんねぇ大人にならない約束を
天幕の中で交わしたあの日
とっくに忘れた


涙の粒が
二個三個、外套に染みてった。
濡れる包帯に
願うは永遠。
喉に使えて軽口は止まる。


話せばきっと平行線で
陽の下を歩いた日々が
普遍ならいいのになんて
へへ!らしくねぇさ、
本当の言葉は指先に留めたまま、


呪いみたいに
未来は見えない、いつだって
無理に話すこともなけりゃー
面倒な子供のあーたは
もういない

やけに大人になっちまったから
指切りひとつ出来なくて、
夜明け前に部屋を出た。


来年もその先も、
凛と平和を語るんだろう。
瑠璃色の目の后を隣に
恋愛の終わりってのは死ぬのに似てて、
ろくでなしは大人になった。

わかったかい、王サマよ。
あーたをいちばん、愛してたってさ──。


end.


前作「紡いだ50の恋の歌」天化サイドです。
詞の頭文字がすべてあいうえお企画。大人になるための50音。
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