其ノ四なんだなんだ、今日も今日とて朝稽古。
その間俺の御守りはっつーと、不機嫌極まりない楊ゼンさま。さぞや仙界とやらでブイブイ言わせただろう髪を結い上げて、俺の書簡にペケを五つ六つ、七つ八つ。やってられるかよバーッカ!
なんてつまらねぇ嘲りの笑いを、こいつは嫌みの切り返ししてきやがるからな。天化とは違った意味でタチわりぃの。どうしたもんやら、気に入られようとする俺も俺だが、俺にばかりダメ出しなさるお暇な代理軍師も相当暇人なんだろうぜ。
ああ、煙草の臭いがしねぇんだ──ふと湧いた目新しい違和感に筆を下ろせば、目の前の長髪を書き上げて言う。
「さて、どちらに妬いたと思います?」
振り返った俺が、耳も真っ赤に口をへの字に結んで走り去る、怒り肩のバンダナ野郎を窓の外に見付けたのは、それからすぐのことだった。
なんだよ、なんだってんだよ!期待するぞばーぁか!