「ったく、くんの早すぎさ…」
神話を破り時代を築いたひとが宙へ昇る今日。天化の口が、小さく動いた。
「ぎゃああああ!何処だここはー!…楽に死なせろって言っただろーーー!」
ゆらゆら彷徨うは、発の魂魄体。飲み込むワープゾーンで捩れて揺れる。人間界の空を超え、かつての仙人界を仰ぎ、
「おーい!天化ー!太公望ー!」
叫んだ足元が再びワープゾーンへと消えた。廻りめぐって、尻餅をついたその地こそ。
「……ん?ここ、か?」
見渡す限りの美しい緑。柔らかな芝に色とりどりの花、新緑の木々に大きな果実。あおいそら。
見渡す限りの美しい…
「極上プリンちゅわーんはっけーーーーーーーん!」
「封神されるさ王サマ!」
派手に吹っ飛ばされた発の残像と天化の怒号に、心底呆れ果てた竜吉公主の溜息が神界を包んだ。
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