煙草とperfume(*)(3/3)




「……ソッコー煙草はねぇだろが」
「それ普通俺っちが言う方さー」
「あぁそりゃそうだ!…じゃねーよ!言わすな!」
すっかりご機嫌なのかなんなのか。それならもっとラブラブいちゃいちゃしたい俺はベッドに置き去りで、ふざけながらサイドテーブルの煙草まっしぐら。
「なぁ、天化。…なに怒ってんだよ?」
飄々として答えない背中を見ながら、ああ、そーいや初めて会ったときも煙草ふかしてたっけな。それが高校の入学式の日だったなー。ま、今更だけど。
「てーんかー、かまってー」
甘えてみてもダメ。
「もっかいする?」
誘ってみてもダメ。

「……天化!怒るぞいい加減!」
言う程怒りきれないまま抱き締めたら、猫パンチ程度の肘鉄が飛んだ。
「いてぇっつの!」
「臭いさ!」
「……あ?」
まったく状況が読めない会話も今日何度目かわかんねぇまま、
「なにが?なんで、俺?」
「……香水。」
香水?
「ええ〜?そうかぁ?いつもと同じのしか…あ。」
俺の「あ。」に、釣り上がる垂れ目。ははーん、そこか、そーきたか。
「クサイはないだろ〜!なに?疑ってんの?」
「……前科持ちがなに言うさ」
「…ぅあい。」
ギリギリつねられる左頬。つねってる右手の指に心の中でゴメンナサイ。ああ…女遊びの時効って何年だっけな……そーいや初めて会ったときもプリンちゃん片手だった俺。
「その匂い嫌いさ」
「んじゃあシャワー浴びたら許してくれる?」
また釣り上がる垂れたジト目に、不謹慎だけど笑い堪えんの辛くなってきた。あーもう、可愛いヤツ!
「ほんとに!天化、マジでなにもしてない。天化だけ!」
「わーってるさ!」
「隣のがキツかったんだよ」
フラッシュバックは今日の会議室の隣。取引先だから離れるわけにもいかない相手。その残り香が、今思えばバッチリうつっちゃってたわけね。
「妬いた?心配した?」
「……ムカつく」
「いいじゃん、甘党」
「そのバニラ嫌いさ」
「んじゃなんなら好き?」
「いーからさっさとシャワー浴びてくるさ!」
「え?おう、天化も一緒に」
言いかけたらある程度の平手で唇叩かれた。わかってんのに懲りねぇなー俺。
「はいはい」
諦めて腕解いたら、触れるだけの恩恵が。
「…おかえり、さ。発ちゃん」
あーもう、ばかやろ!

久しぶりの和解のキスは、大人なんだか子供なんだか。煙草とワガママの味がした。


end.


相変わらず、を書きたかったのです。ツンデレ天化と惚れきってる発ちゃん。
2010/10/26

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