健全・不健全(2/3)





「あんたキャラ変わったわよねー…」
「俺だって予想外だっつの」
今日も今日とて道場脇からグラウンドへ続く道のベンチ。隣に座るは蝉玉だった。
ソフトボール部のユニフォームに元気印の三つ編みで、可愛い可愛いプリンちゃんで。なかなかに人気が高いことを自覚していないのは本人だけだ。気付いた所で既に暫定彼氏持ちだけど。
「恋煩ってる王サマってぜんっぜん想像出来なかったけど」
「俺だって」
はぁ。二人分の溜息が蜃気楼に消える。
「ねぇ、このまま頑張る気?」
「…わかんね。」
「辛いでしょ、片想い」
木陰に揺れる風に気付かない。
「両想いは楽しいわよー!」
「うるせ!」
笑い声を遮って、発の口が形作る声。
「……けっこう…、本気で好きなんだけどなぁ、俺」
砂を踏む足音が、蝉玉の声に消える。
「見りゃーわかるわよ!気付かない方がどうかしてるってゆーか…」
「だからどーしようもねぇっての!じゃなきゃとっくに」
「でぇやははははははは!!」
「笑うな!」
ゴメンゴメン。笑い涙と謝罪の声と溜息と。
「ま・お互い頑張りましょ!私も新人戦出てハニーに愛の分裂魔球届けちゃうんだから!」
「おう、……土公孫にも気の毒な話だけどなー」
「なによ!」
「冗談だって!」
盛大な勘違いを引き連れた天化の足音が、笑い声に消えたのは少し前。

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